村を探す
「情報提供感謝します。しかし残念ですが、まだ魔王に挑んだところで勝利出来る確率は低いでしょう。危険ですから、懸けはしないタイプでしてね」
悠馬の言うとおり、まだ魔王に挑むわけにはいかない。憎き魔王が目の前に現れたって、気付かれないようにこそこそ逃げなきゃなんないのね。
「それもそうですね。あんまあぶいことをするのはだめだから、いっぱいかてるときじゃないと……あのおねーさんとってもつおいひとだったんですもん」
喋り型通り幼い顔に短い黄色の髪、春を連想させる色の綺麗な可愛らしいワンピースを身に纏っている。羽は黄色でやはり薄く透き通っている。羽は片方だけでも体を越える大きさで、形は蝶のような感じなのである。
この幼い姿、ハートちゃんかしら。一応他人に全く興味がない私だって、妖精の姿を見て誰が誰かくらいだったら分かるわ。
「はい、彼女が強いのは知っています。だって、彼女の力は僕が与えたものだから……。責任を持って僕が片付けないといけませんよね、あの力は……」
えっ? 今さらっと悠馬、魔王の力は悠馬のものだって言わなかったかしら。でも鬼神なんだったら、普通に魔王の上の位で可笑しくは無いんだとは思うけど。
「まあいいわ、話は村でしましょう。いつまでもこんなとこにいて、見つかったら厄介でしょう? 皆、飛ぶ元気は残っているわよね? だったら着いて来て頂戴」
いつまでもお喋りしてる場合じゃない、そう思って私は妖精たちの誘導を始める。喜びのあまり話したい気持ちは分かるけど、ここには危険だってあるわ。
「陽香さん、こっちに来て下さい。道を引き返してもいいですが、あの村に行ったって仕方がないでしょう? 捨てられた村の復興、それを目指しましょうか」
確かにストーンを持ち出しちゃってるんだから、二人の元に帰るわけにはいかないわ。二人とも怒っているのかしら、話なんて聞いてくれないかしら。でも……。
「ねえ悠馬、あの大きな扉はどうなるの? あれって、なんかヤバい奴なんじゃ」
あれがあるんだから、ずっと放置ってわけにもいかないわよね当然。
「魔界の扉ですか? 確かにあれは何とかしないといけませんね。しかしそれをするべきは、恐らく今じゃあないんじゃないかと僕は思います」
まあ悠馬が今じゃないって言ってるんだったら、きっと今じゃないのでしょう。悔しいけど悠馬は私より賢いから、きっとそれくらい考えてある筈なのよね。
「そう、だったらいいわ。私は貴方に任せる」




