湧き出る蛆虫
「ストーンの周りの池、黒く染まって来てしまっていますわ。それに木も、何本か倒れてしまっておりました。だからこれ以上腐らせる前に、蛆虫を消し去りましょう。魔物やドラゴンを倒した後に発生したのでしょう、初めてでは御座いません」
えっ、気持ち悪いんだけど! 確かにドラゴンと狩ってると、変な蛆虫みたいなの大量発生するけどさ。それは知っているわよ? でもさ、キモいんだもん。
「ああ、あれですか。了解です、僕にお任せ下さい。しかしストーンの池が、黒く染まっているというのは不味いですよね。ストーンまで辿り着く前に、何とか退治しなければなりません。それでは、お二人とも急いで頂けますか? さあ」
悠馬は喋りながらもスピードを上げて行き、小走り気味で池へと向かった。
「ね? 酷い状況で御座いましょう。それで、これをどうしようかと思っていたので御座います。お二人に来て頂き、私とても助かりましたわ。お願い致します」
何よ、お願い致しますって。どうゆうこと? 全部人任せなの? そんな訳ないわよねえ。まあきっと、望海も何かはするんでしょうね。だってお手伝いだもん。
「ええ、予想以上の惨状です。僕も出来る限りお手伝いしますので、望海さんと陽香さんは木を何とかして下さい。蛆虫なんかのせいで、聖なる木を腐らせてはいけません。ストーンにも多大なる影響が出るでしょうし、バリアも弱まりますから」
そんなこと言われたって、どうしろって言うのよ。戸惑う私に、蛆虫たちが近付いていきた。気持ち悪い気持ち悪い、この私陽香様に近付くとか何様なのよ。
「了承致しましたわ、お二人ともお気を付け下さいまし。危険も御座いますから」
んなこと言われたって、私はどうすればいいのよぅ。一匹の蛆虫が、私の足まで辿り着いて攀じ登ってくる。それを私は、慌てて右手で振り払う。しかし無限湧きと言うくらいに、私の周りに集まって来てしまっている。必死に私は、そいつらを踏み付けて行く。蹴ったり踏んだりして殺すと、気持ちの悪い液体が靴に着く。
「陽香さん、大丈夫ですか? 一人で大変なら、僕も少しは協力できますけど」
池の前で両手から何かを出している悠馬が、振り向いて私の方を見るとそう言った。五月蝿いわね、助けなんて必要ないわ。悠馬の邪魔までは、したくないから。
「いいえ、問題ないわ。私だってこの程度大丈夫、自分の任務を果たして頂戴」




