お片付け
それはつまり、悠馬がずっと笑顔でいる理由ってこと? うわ~、クソどうでもいい。
「でも陽香さん、もう不平等なんかじゃありませんよね? 魔物たちが侵略してくるから、僕は人間を守るんです。だから陽香さんも、お願いしますね」
えっ? 私と話してたんだ。でも私達は人間を守れてなんかないじゃない、人間を守るんじゃなくて魔物を倒して守ったと言うように思おうとしているだけ。
まあそれでもいいわ、英雄と殺人鬼は同じものなんだから。
「そんなのどうでもいいわ、英雄になんてなりたくないから。だから私は悠馬の言葉、否定したりしないわ……。それに私は……私は強くなりたいの」
魔王を倒したい、でも勇者になりたいわけじゃない。
ただ、強さが欲しいの。負けたくない、誰にも……誰にも……。
「陽香さんは変わりませんね、何億年も前からずっと……! その揺るがない思い、羨ましいですよ」
そして幸せそうに笑うと、いつもの微笑みに戻って歩き出した。私もその後を追って歩き出す、いつもの私で……。
「奪われたストーンと妖精たち、早く取り戻しましょう? 私達の満足の為に」
「はい、そうですね。じゃあ、直接魔物たちの拠点を調べましょう。情報が集まるまでは、穴見村で待機と行きましょうかね。無駄に動くのも良くありません、あそこは村ごと移動してくれるでしょうしね」
あんだけ村人を死なせといて、望海と会うってのも気が引けるわね。まあストーンは守ったもの、それでいいじゃないの。
「そうね、穴見村に行きましょ」
穴見村に戻ったら、序でに洋服も貰おうかしらね。汚いわ、滅茶苦茶。穴見村に向かって、私達は歩いて行く。
「陽香さんに悠馬さん、どこにいらっしゃったんですの?」
私達が村に戻ると、幸い望海も笑顔で迎えてくれた。
「魔物を追い掛け過ぎちゃいました、すみませんね」
まあ確かに、嘘は言ってないかもしれないわね。いや、追い掛けたわけじゃないけどね。
「いえ、問題ありませんわ。お二人も片付け、手伝っては貰えませんこと? 申し訳ございませんね」
片付けって、あの家とか死体の……? 気持ち悪っ。でも確かそれは、悠馬が片して行ったか。
「何の片付けですか? まあ、お手伝いならいくらでも致しますけど」
ちょっと悠馬、何勝手に引き受けてる訳? まあ私だって、断るつもりなんてないけどさ。




