表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”五章” 滅んでいく村 悠馬の過去
43/150

新しい神

「はい、ここは人間達の世界ですから。そこへ侵略してきたのですから、魔物たちは悪者ではないのですか? だから僕達が、退治していただけですよ」

 悠馬が余りにもニコニコしてるから、凜子は少しだけ不快そうな表情を浮かばせた。しかし直ぐに、満面の笑みを浮かべ直した。

「侵略しているわけではないさ、それに逆説もあるだろ」

 逆説? へえ、聞いてやろうじゃないの。

「いいえ、ありません。ここは元々魔物たちの世界だったのだが人間に乗っ取られた、とでも言いたいのですか? しかし残念ながら、その可能性はありません」

 ニコニコニコニコ、満面の笑みのまま悠馬は完全に否定した。

「なぜだ? 昔神が何を思い何をしたか、そんなのがお前に分かるってのかよ」

 ニヤニヤニヤニヤ、気持ちの悪い笑みを浮かべて凜子も言い返す。

「はい、分かりますよ。だって世界を作り出して種族で分けたのは、僕自身ですからね……。結構昔のことですが、そこまで大きなことは中々忘れられませんよ」

 さすがに悠馬のその言葉には、凜子も驚きの表情を見せた。

「私も覚えている、その記憶はあるわ。戦いはダメ! って……」

 凄い昔に私と悠馬とあと……大人版の梨乃だわ。その三人で生き物たちの戦いを……、それで世界を分割して……種族別に……覚えているわ。

「陽香さん、本当ですか? 覚えていて下さったんですね、やっぱ優しい方です」

 その時理由は分からないけど、私は何だか嬉しかった。

「ははっ、あの話は本当だったのかよ。世界の侵略は神が直々に止めに来る、そして全てを壊されてしまうって……。でも私はもう神に屈しないから、宜しくな」

 もう神に屈しない……もう? どうゆうことなのだろう。

「神の怒りに触れないように暮らすなんて嫌だ! 人間達ばっかり自由なのに、私達だけそんなのは不平等だ。だから私はそれを変えてみせる、私が新しい神になるんだ。古い神なんて、古い神なんて……私が消し去ってやるさっ!!」

 悲しそうに悔しそうにそう叫んだのだが、その後は普通の笑顔に戻っていた。

「それは反省していますよ、そして僕はそれを変えて見せます。その為にも戦っているのですよ、僕も古い神の決まりと言うのは好まなくってね……」

 嘘だ、悠馬の言葉は確実な嘘だ。反省なんてこれっぽっちもしていない、ただ悠馬は凜子を……。まあそれは仕方ないだろう、だって私達が古い神本人らしいからね。消し去ってやるとか言われれば、不快にもなるでしょう。でも今は落ち着かせておく為に、悠馬は適当な事を言って話を合わせているんだ。私はそう思うわ。

 私もその古い神に入っているのかもしれないけど、生憎私にその記憶は殆どないわ。だから何を言われたとしても、自分が言われてる気がしないわね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ