正義の味方
「悠馬……、ありがとう。でも望海に会えない、村を守れなかった。私は村を守れなかった、もうこの村にいたくないわ。ねえ悠馬、凄く魔物を倒したい気分だわ」
むしゃくしゃしていて、殺りました。しかし、反省はしていません。
「はい、僕もとっても。不幸な魔物を倒しましょう、ボッコボコにね」
私達は望海に見つからないうちに村の外へと逃げ出し、魔王の部隊を捜しに行くことにする。
「近くにまだ、魔物の群れはあるようです。司令官も魔物だけでしょうから、恐れるにも足りません。ドラゴンもいなそうですね、大きな魔力も感じることが出来ません。ご安心下さい」
ニコッと微笑んだ悠馬は、てくてく笑顔で歩いて行く。ご安心下さいって……。
「私達は平和を守っているの、八つ当たりなんかじゃないわよね? 魔物を倒すと言うのは、人々を守るということでいい筈よね」
そう、魔物は倒されて当然なのよ。だって魔の物なんだもの、仕方がないわ。
「八つ当たりじゃありません、正義ですよ。僕も陽香さんも悪くありません、さあ倒しに行きましょう。神の命を破り暴れ出してしまった、欲の強い魔物たちが悪いのです。ふふふ、早く退治しないといけませんね」
恐ろしい笑顔を浮かべたまま、悠馬はニコニコと歩き続ける。
私達は人々を守る、正義の味方なのよ。腹が立っているから、悪者イメージの魔物と言う存在の奴らを倒す。そして正義となる。そんな訳じゃないわ、私は正義の味方。
「あっ、あそこですよ。あいつらは全くもって、警戒している様子もありませんね。さあ陽香さん、早く倒しに行きましょうよ」
アハハニコニコと、悠馬は走り出す。あそこってどこよ。それは分からなかったのだけど、私は取り敢えず悠馬を追って走り出した。
少し走っていると、私にも魔物の大群が見えてきた。ぶっ殺す、全部纏めてぶっ殺す。お前らには恨みもないけど、むしゃくしゃするから皆殺しね。
「は~るかさん、準備は出来ていますよね?」
とても楽しそうにニコニコと、悠馬は手に薙刀を持った。何その大きな薙刀、どっから取り出したの? ズルい、ズルいよ私も使いたいわ。
「ええ、完璧よ」
ズルいから私も使うわ。一生懸命の魔法で、私も手に巨大な薙刀を持った。




