壊された村
「お前なんか、お前らなんかには負けないわ。さあ掛かって来なさい、雑魚共」
ドラゴンはともかく相当進化した存在の闇の魔物は、私達が喋る言葉だって通じる。そして彼らは、バカにされることを当然好まない。それに案外彼らは、誇り高き種族だったりするのである。まあ挑発に乗るような奴でもないけどね。
「ガオガオ、ガーオー!」
ずっとドラゴンたちは、火を吐き続けている。そしてやっと私に気が付いたような奴らも、私に向けて火を吐いてくる。
「貴方達では私は倒せないわっ! ふふっ」
私はわざと余裕を見せ、魔物に警戒をさせた。それと目的はもう一つ、私の恐れを消し去ろうとしていた。そう、ドラゴンなんかに負けるはずがない。
私は走ってドラゴンの背後に回り、足の思いっ切り蹴りを入れた。そしてそれに驚いたドラゴンは、予想通り暴れ出した。魔物の制御も聞かないくらいに。
次から次へとドラゴンを興奮させ、ギリギリのラインでドラゴンの攻撃を他のドラゴンに当てるよう動き回る。めんどくさいけど、今の私には何も出来ないから。武器も持っていないし、魔法だって術だってろくに使えないわ。
「陽香さん、大丈夫ですかっ?」
どれくらい逃げ回っていたかしら、途中で悠馬が助けに来てくれた。
「ああ……、酷い惨状ですね。やっぱり今の陽香さんには、きつかったですよね」
悲しそうに人々の死体を眺めた後、悠馬は何らかの呪文を唱え始めた。そしてその詠唱が終わると、ドラゴンも魔物も死体も壊れた家も全て消え去った。
「あっはは、ちょっと威力あり過ぎましたか。僕も、ここまでとは思ってなかったんですけど。でも別にこれくらい、大丈夫ですよね? あんなの残しといたって、どうせ気持ち悪いだけですし……」
私もそうは思うけど、ここの村人的にはそんなわけにはいかないんじゃない? 家族が死んでさ、気持ち悪いからって死体を消されちゃったらね。
「ごめんなさい、守れなかったみたいだわ」
悠馬がそれで悲しむとは思えなかったのだが、私は一応謝っておいた。う~ん、謝る相手間違ってるのかしらね。
「僕に謝らなくたっていいですよ、困るだけです。それに石は守れました、村人は仕方ないんじゃないですか? 別に僕だって、村人を守りに来ている訳でもありませんし。ただ”dark stone”になったら困るから、死なせたくなかっただけです。それに出し切る前にもう、死体は消滅させました。少しは問題ないでしょう」
それはさすがに……、私も酷いんじゃないかと思うわ。否定はしないけど。




