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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”四章” 辿り着いた村 梨乃の正体と凜子の目的
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殺された兄

 え? ”dark stone”が存在しているの? 

「それは、魔王が生み出したものなの?」

 それとも、人間が生み出してしまったものなのかしら。

「いいえ、彼女が魔王となる前からそうでした。犯罪や争いの多い町だったそうで、悲しい事件や戦の果てに…ストーンは穢れてしまったそうです。そして今魔王は、恐らくその町を拠点としていることでしょう」

 人間が生んだ、悲しみのストーン。そして他のストーンたちも、そうされて行ってしまうのかしら。人々の魂や血によって…。

「ドラゴンが現れましたわ、陽香さんも悠馬さんも来て下さいまし」

 望海に呼ばれて私たちは、ストーンがある湖まで案内された。そこには魔物が溢れ返り、大量のドラゴンたちが火を放っていた。

「こいつらくらいなら、止められるかもしれません。村人たちの避難を、宜しくお願い致します」

「了解いたしましたわ」

 頷いて、望海は湖から立ち去っていく。それを確認した悠馬は呪文を唱え、よく分からない棒を出現させた。えっと、ステッキって言った方が分かりやすいかしらね。魔法使いって言うよりも、魔法少女って感じのね。

「ガオー! ガオガオ」

 可愛らしい姿をしたドラゴンなのだが、攻撃の威力はバカにならない。強さだけは保証付きね、見た目は可愛らしいのだけど。

「ガーオー!」

 そう吠えたドラゴンは、私達の方へ突進してくる。悠馬はそれを軽々と避け、私も余裕で回避する。しかしドラゴンの目的は、私達ではなかったようだ。

「……! 狙いは村人です! ドラゴン程度の奴では、聖なるストーンには触れられないのでしょう。だから村人たちを殺し、先に”dark stone”にしてしまおうと考えたのですね」

 説明をしながらも悠馬は、ドラゴンを止める為に走り出した。私はただ、それを追った。

「ここは陽香さんに任せたいとこですが、大丈夫ですか?」

 そうね、こいつ一匹くらい私が殺りましょう。

「ええ、問題ないわ。悠馬、貴方はこれ以上ドラゴンが村へ来るのを止めて頂戴」

「はい」

 悠馬は走り去っていき、私は戦闘の構えを取る。ドラゴン一匹くらい、私にだって倒せるわよ。覚悟しなさい! 雑魚め。

 私はドラゴンの弱点である筈の、耳元を思いっ切り蹴り上げた。

「ガオッ」

 ピクッと反応してドラゴンは、可愛らしい悲鳴を上げた。

「ガオー!」

 しかしその後興奮して、住宅街へと突っ込んで行った。

「キャー!」 「助けてー!」

 逃げ遅れた人々の悲鳴、早く助けに行かないとね。私は全速力で走り、ドラゴンを追った。しかしその途中で、何かに躓いて転んだ。こんなところに、何があるって言うの? 

 私は足元を確認する。そこにあったのは、死体であった。

 てか今まで会ってきた人が反応しなかったせいで忘れてたけど、私物凄く血だらけなんだったわ。ほら、あの鳥型モンスターの。

「お、お前! 兄ちゃんに対して、なんて酷いことすんだよ。兄ちゃんは、優しくていい人だったのに!」

 え? 建物の陰から幼げな少年が飛び出て来て、私目掛けてナイフを振るって来る。

「何の話よ、ねえ! 何を言っているの?」

 私はナイフを取り上げて、少年を押さえつけた。こんなもの持って暴れられて、怪我でもしたら堪ったもんじゃないわ。

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