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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”四章” 辿り着いた村 梨乃の正体と凜子の目的
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邪悪な気配

「あら、スターちゃん? 囮になんて出来る筈ないでしょう? 貴方は我が村のストーンを守る、大切な妖精ですのよ。万が一があれば、我が村まで滅んでしまいますわ」

 まあ、それはそうよね。大切な妖精、囮にするなんて相当の勇気がいるわ。でも囮と言うのは、いい作戦かも知れないわよね。

「だいじょーぶ、あたしに万が一なんてないよ。妖精の中でも、レジェンド様を除けば一番強いんだよ? 魔王なんかに捕まる訳ないじゃん」

 最強と謳われていたであろう自分の力に、ただ自惚れているということでいいのね?

「スターちゃん」

 悠馬が優しい微笑みで、その名前を呼んだ。とても優しそうなのに、妙に迫力がある声だった。

「その油断が、自分の身を滅ぼしてしまうのですよ。魔王は人間とは違います、いつまでも自惚れていないで下さい☆」

 優しい声色のまま、悠馬はスターちゃんの体を右手で握った。スターちゃんは苦しそうに呻く。

「放して、ねえ放して」

 スターちゃんがいくら呻こうとも、悠馬は微笑んだまま動かない。

「もうそれくらいでいいでしょう? 放して差し上げなさい」

 しかし望海がそう言うと、悠馬は頷いてスターちゃんを解放した。

「僕に捕まりましたよね? 果たして貴方の抵抗は、通用しましたか? しませんでしたよね」

 ショボーンとして、スターちゃんは頷いた。まあ妖精には、ストーンを守る以外の役目はない。だってストーンを隠すこと、それしかできないのだから。さっきみたいに掴まれたら、抵抗することなんてできないわ。

「危険なことは、分かりましたわよね? スターちゃん、村をお任せ致しますわよ」

 それでいつになったら、私は喋れるようになるのかしら。

「……! ねえ、邪悪な気配がするよ。こっちに、近付いて来てるみたいね」

 スターちゃんが、突然笑顔を消してそう言った。邪悪な気配? それって、もう魔王の部隊が来ているってことかしら。

「分かりましたわ、結界を最高にしますわね。悠馬さん陽香さん、見張りをお願い致しますわ」

 望海はどこかへ走って行き、スターちゃんは光になって消える。悠馬は私に手招きして、走りだした。私も急いで、悠馬について行った。

「どこか高いところへ行きましょう、魔王の部隊をすぐ発見しなければ」

 悠馬は高台のようなところに、駆け登って行った。私もそれに続く。

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