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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”四章” 辿り着いた村 梨乃の正体と凜子の目的
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妖精の為

「突然待ち合わせ場所と時間を変えると仰るので、私も驚きましたわ」

 待ち合わせ場所と時間、悠馬が変えたのかしら。それってもしかして、私が疲れたって言ってたから? だとしたら、優しいところもあるのね。

「ああ、すみませんね。しかし僕も、無事に会えたので良かったです」

 私達は、大きめの家に案内された。そして座らせられ、お茶と茶菓子を出して貰った。金持な村ね、客にそんなもの出せるなんて。

 今時他の村では、水の奪い合いをしているんじゃあないかしら? お茶だなんてとんでもないわ。

「こんなものしか御座いませんが…」

 望海は上品に微笑み、私達の向かいに座った。

「望海さん、魔王の部隊がこの村を狙っているのは知っていますね?」

 悠馬が行き成り本題に入ったことに驚いたのか、望海の笑顔が多少崩れた。しかし直ぐに、微笑み直す。

「ええ、スターちゃんから聞きましたわ。それと、仲間が捕らえられてるとも仰っておられましたけど…」

 望海は不安そうな顔を、私達に向けて来た。何だか物凄く、顔作ってる感があるのだけれど…気のせいかしら?

「はい、魔王は妖精と捕まえているようですね。僕もその話は聞いています」

 でも悠馬って、誰にそんな話を聞いてるの? 私はそう訊こうと思ったのだが、口が開かなかった。どうゆうことよ、どうしてなの…?

「黙ってて下さいね」

 笑顔で私の方を向き、小声で悠馬は言ってきた。貴方の仕業なの? 貴方のせいで、私の口は開かないの? でもそう言ってるんだし、そうするしかないわね。

 無理に逆らって暴れたりしても、私に全くもって得はないわ。少しくらい話せなくたって、別に構わないじゃないの。それに、話を聞くことは出来るんだからさ。

「どうかなさいましたこと?」

 不思議そうな表情で、望海が私達に訊いてきた。やっぱり何だか、表情を作っている感じがするのよね。

「いいえ、何でもありませんよ。それよりも、妖精を助ける方法を考えましょう」

 微笑みを消した真面目そうな顔で、悠馬はそう言った。妖精を助ける、確かにそれは必要なことよね。

「あたしが囮になってあげてもいいけど?」

 どこかから高く子供っぽい、何だか腹が立つような声が聞こえてきた。

「ハロハロ~、あたしスターちゃんよ」

 青く胸元程までの髪、右側を一部だけ大きな星の髪飾りで結んである。何だか元気が良さそうな顔に、細く鋭い青く透き通った羽。それに小さな体であったので、本当に妖精であるのだと思う。

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