開かれる幕
耳障りな、二種類の声が聞こえてくる。
人々の叫び声、そして魔王の笑い声。僕にとってはどちらも、不快な音以外の何物でもない。その中に一つだけ、僕が興味を持つ内容のものが紛れていた。
だから僕は恐らくそれを確認するため、人間界や魔界にお邪魔することとなるだろう。
果たしてどうなのだろうね。
今聞いたことは本当なのだろうか。
本当にあのような所に”彼女”が…?
「あら羅刹さん、そのようなとこで何をされているんですの?」
「夜叉姫様、とても興味深いことを聞きました。彼女が今、人間界にいるようなのです」
この人ならば、”彼女”と言っただけで誰を指しているのか分かってくれるだろう。
「それは確かなことですこと?私も貴方について行って宜しいかしら」
「僕は別に行くとは言ってませんよ?」
「しかし当然、行かれるおつもりでしょう?」
「それはそうですけど。ふう、いいでしょう。では夜叉姫様、人間界へ向かいますよ?」
僕は夜叉姫様をつれ、人間界へ瞬間移動をした。さあて、何から始めようかね。まあそんなの、簡単な話だ。彼女を呼ぶのにとてもいい方法がある。ただそれを行えばいいのではないか。