迫る大軍
「余りは、どうしましょう」
悠馬は無言で食べ続け、暫くすると皿と箸を置いた。
「こんなの持ち歩けないわ、諦めましょう」
物理的にも心理的にも無理よ、これを持ち歩くことは不可能だわ。
「しかしこれだけの肉、なかなか手に入りませんよ」
食べれそうな魔物くらい、いくらでもいるわ。このモンスターを食べれるなら、他も行ける筈でしょう?
「そんなに持っていきたいなら、勝手に持ち運べばいいじゃないの。私は絶対に、協力しないからね」
悠馬が全部自分で持つんだったら、私は持って来たって構わないわ。でかどうせ、そんなこと出来る筈ないもの。
「本当ですか? じゃあ、少し待ってて下さいね」
悠馬が右手を広げると同時に、とても強い風が発生する。余りに強い風に、私は目が開けなかった。どうにか耐え忍び暫く後眼を開くと、そこにモンスターの姿はなかった。どうゆうことなの? あんな巨体、無くなる筈…。
「これで大丈夫です、いつでもお肉が食べられますね」
悠馬は笑顔でそう言うと、何も無かったかのように歩き出した。まどかとは逆の意味で、一緒に旅するのがきついわね。
まどか…まどか、殺した…私が…信じて、くれてたのに…、ううん。そうじゃないわ、だからもう忘れていいのよ。
「陽香さん、どうしました? 何だか、苦しそうですけど…お疲れですか? 大変だったら、この辺で休みましょう」
歩きながらも私は、暫くまどかに取り付かれていた。ああきっと、私を恨んで悪霊にでもなったんだわ。そして私を、呪っているんだわ…。
「大丈夫ですか? 陽香さん、陽香さん」
遠くの方から、悠馬の声が微かに聞こえてくる。そっか私、疲れてるのか。だったら、少し休んで言った方が効率よく進めるわ。無理してゆっくり進むよりもね☆
「ええ、そろそろ休みましょう。悠馬、貴方だって疲れてるんじゃなぁい? ずっと歩きっぱなしだし、魔王にも会ったしね」
少し休憩と、木陰で石により掛かる。あんなに砂しか見えなかったのに、この場所は沢山植物も生えている。どこまで歩いて来てしまったのかしら。
のんびりそこでぐでーっとしていると、どこからか揃った足音が聞こえてきた。どこかしら、誰なのかしら。数はきっと、数百…いや数千にも及ぶかもしれないわ。
「あれ? 魔王の部隊でしょうか、でもどうして」
魔王の部隊? どうゆうことなのよ。もう既に築田村は滅ぼして、次のstoneを探しているということ? 私達が、ゆっくりしていたから…。




