楽しいお料理 1
「狩り、ええそうね。どうせ殺すんだし、ちゃんと使っておきたいもの。そうしないと、勿体無いみたいな?」
そう考えて、何とか自分を納得させる。
「やっぱりそうですよね、じゃあ止め刺しちゃって下さい」
頷いて私は、そのモンスターに止めを刺す。これだけの攻撃をすれば、この程度のモンスターは死んだことでしょう。
「今丁度お腹も空いてますし、荷物にならないよう食べてしまいましょう」
今すぐ? あはは、新鮮そうでいいわね。
「ねえこれって、食べても安全なの?」
貴方は強いのよ、今更逃げちゃダメ! さあ勇気を出して、戦うのよ小鳥遊陽香ぁ!
「はい、安全だとは思いますよ。確実にと言い切ることはできませんが、それはどの食材でもそうでしょう?」
ま、まあそれはそうね。確実に安全な食材なんて、存在しないんだけれど…。でもね、でもねえ!
「それで、どうやって調理するの?」
もう、何逃げてんのよ。小鳥遊陽香、貴方は強いの。さあ覚悟を決めなさい、こんなことを怖がってちゃ旅なんて出来ないわ。それに飢え死なんて、したくないでしょう? だったらこれを、食べるしかないじゃないの。
「適当に焼けば、食べれるんじゃないですか?」
ちょっと! 本当に大丈夫なのよね? ねえ!?
「分かったわ、でもどうやって食べるの?」
どんなに逃げたって、最後には食べるのよ。だって、だってこれしかないのだから。普通の鳥だと考えれば良いじゃないの、そうただの鶏肉よ。せっかくの肉、食べない訳にはいかないでしょう?
「かなり大きいですし、食べずらいですよね。もし良かったら、僕が料理しますけど…?」
「ありがとう、じゃあお願いするわ」
これで、少しでも食べやすくなればいいんだけど…。悠馬は、手際よく肉を細かく切っていく。ああ、その見た目だったらまあ美味しそうに…見えなくもない筈。
「何かお皿や箸の代わりになるものが、あればいいんですけど…」
弱い火を出して、肉を焼きながら言って来る。そんなの、葉っぱで充分じゃない?
「皿や箸なんて、葉っぱや木を綺麗にすればいいわ」
「そうですか、了解しました」
優しく微笑んだ悠馬は、巨大な鳥を小さく引き裂いていって纏めて火に掛けた。




