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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”三章” 二人の旅 梨乃登場
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怪物の呻き声

「しかし僕の本当の名前を思い出すまでは、悠馬と呼んで下さって構いません」

 本当の、名前…? じゃあやっぱり悠馬と言うのは、偽名だったということなの? いや、それは少し違うのかしら。

「ぎゃるああ」

 暫く無言のまま歩いていると、所々に低い木が見え始めた。

「ぎゃるらぁあ!」

 それと幻聴だと信じているのだけれど、少し前から怪物の呻き声のようなものが聞こえてきているわ。

「ぎゅらぁ!」

 その声は、だんだん近づいてくる。どこ? どこにいるの? 分からないわ、辺りに全く邪気を感じられない。

「ぎゅあぁぁあ!」

 見つけた、下ね。私の読み通り、地面の下から怪物が攻撃してきた。私は危機一髪で、何とかそれをかわす。そんなに大きな怪物じゃなかったし、強くはないのかしら。でも不思議ね、鳥型なのに地面を移動するなんて。

「陽香さん、倒しますか?」

 地面から怪物が攻撃してくるのを、ヒョイヒョイ避けながら訊いてくる。どんだけ余裕なのよ、バカにし過ぎじゃない?

「めんどくさいわ、倒して行きましょう」

 売られた喧嘩はね、殆ど絶対買う主義なのよ。

「分かりました、では陽香さんは攻撃を宜しくお願いします。僕はアイツを地面から誘き出します」

 指示されるのは好きじゃないけど、了解しておいてあげるわ。

「準備して下さい」

 仕方なく指示に従い、麻痺魔法を溜め始める。そして私が麻痺魔法を溜め終わった頃に、悠馬は上手く鳥型モンスターを上空まで誘き出してくれた。これだったら、地面に戻るまでに時間があるわ。その時間にソイツを、動けなくしろってことね。私は素早くそのモンスターに駆け寄って行って、絶対に外さない距離で溜めていた魔法を放つ。

「きゃるるぅ」

 よしっ、当たったわ。飛んでいたそのモンスターは落ちてきて、地上に死体のように倒れていた。

「体が麻痺しているだけ、まだ生きているわ。確実に仕留めましょう」

「はい、それにこれなら食材にもなりそうですし」

 え? 食べる気なの? えぇ、これを? 確かに鳥っぽいし、食べれなくもなさそうだけど…。

「食べるの?」

 そのモンスターを殺しながらも、私は悠馬に問い掛ける。

「食べないんですか? だって、食べ物ありませんし…。貴重な肉ですよ」

 いや、そうかもしれないけどさ。

「僕はてっきり、狩りなんだと思ってました」

 でも確かに、それはそうかもしれないわね。私だって、そんなに沢山の食糧を持ち合わせてはいない。それにこのモンスターの肉が、美味しいってことだってあるかもしれないじゃないの。ええ、そうよ。

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