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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”二章” 凜子を追え 悠馬との出逢い
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お迎え

「もう? ってことは、見たことあるのですか? どんな感じでしたか、僕にも教えて下さい」

 そうね、確かにまどかは”もう”見たくないって言ったわ。でも魔王に会った人間が、生きていられているとは考えずらいわね。

 自分の姿が見られたというのに、魔王が殺さないなんて…。

「いやなのです、思い出したくもないなのです。いやなのです」

 まどかは頭を抱え、座り込んでしまった。

「そんなに私に、会いたかったのか?」

 誰!? 私は辺りを見渡す。どこにいるの!?

「こっちだよ」

 私が後ろを振り返ると、そこには少女が立っていた。綺麗な、黒髪。それに、笑顔…。あのエロジジィが言ってた特徴と、一致するわ。

 整った顔立ちと長い黒髪は、日本人形を連想させるわね。背も高いし大人っぽく見えるが、歳は私と変わらないでしょう。

「ひぇ! いやなのです! あぁぐぁぁあ!」

 それにまどかのこの乱れよう、この少女が凜子/魔王と見てよさそうね。

「貴方が魔王ですか、会いたかったです」

 悠馬は平気な顔で、魔王に近づいて行く。まどかが壊れるほど恐れているというのに、よくまあ冷静でいられるわねえ。その精神には少し感心するわ。

「そうだな、お前らはどうだ? 私に会いたかったよなあ」

 私達? ええまあ、会いたかったと言えば会いたかったわよね。魔王を探していたわけだし…。

「ええ、とっても会いたかったわ。貴方が来てくれなければ、私から行こうと思っていたもの」

「いやなのです、まどかは嫌なのです。来ないで来ないで来ないで、嫌なのです」

 そんなに怖がらなくても大丈夫よ、魔王なんて恐れるに足りないわ。

「あ~れ? 悲しい事を言うね。私がそんなに嫌いか、残念だ。ふふふはははは」

 凜子と思われる少女は、まどかの髪を掴む。そしてそのまま、思いっきり引っ張って持ち上げた。

「よし、これからショーを始めるよ。お前ら二人は、観客として観戦していてくれ。いいな?」

 ここで逆らったって意味はないわ、私達は頷いた。ごめんなさいね、まどか。

「楽しんでくれたまえよ」

 まどかの髪を掴んだまま、手を挙げて手を振りながら言う。凄い力ね。

「ふふふふふあはははははは」

 楽しそうに口を大きく開けて笑うので、整った綺麗な顔が台無しだわ。

「目を離すなよ。瞬きせずに、よ~く見てるんだ」

 上に上げていたまどかを、今度は思いっ切り地面に叩きつけた。叩きつけられた部分だけ、砂は赤黒く染まっていた。

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