繰り返す物語
終わりを告げる音、鳴ることのなかった音。
どうしてなのでしょう。乱世の幕は閉ざされないままに、再び幕が開かれてしまいました。
始まりを告げる音、恐怖に包まれる悲しみの世界。
だからといって、僕が巻き込まれる必要はないのですが、彼女は相変わらずな性格のようです。
関係のない争いに首を突っ込み、巻き込まれていくのですから。
僕にも、貴方の傍にいさせて下さいよ。
それならば、たとえ戦乱の世なのだとしても、僕は構いません。そのことにより、万が一に命を落とすことになろうとも。
ええ、貴方を失ってしまうことよりは、いくらかましですよ。
絶えず争いを繰り広げる人間界へ、僕は降り立った。
どうせ人間界の乱れは、いずれ神界の乱れへと繋がるんだ。それだったら、少し前から乱れてみるのも悪くない。
神界が乱れる前に、この乱れに乱れた世界を抑えることだって、出来るかもしれないし。
それじゃあ始めようか。何度でも、何度でも……。
貴方の隣で笑えるように。
来世の僕も、来世の貴方の隣で笑えるように。
その後もその後も、その後もずっと。
苦労しないで、悲しまないで、誰も傷付かない、幸せを歌うために。
そう決意を固めて、僕は武器を握り悲しみの源となる、魔物たちへ刃を向けるのであった。貴方の為に。




