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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”二章” 凜子を追え 悠馬との出逢い
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間違った記憶

「これ、ありがとうございます。薬か何かなのですか?」

 塗り終わってからそれを聞くの? まあいいわ、私は薬をバックの中に片す。

「ええそうよ、痺れに効く薬なの。一応持っておいてよかったわ」

 適当ね。痺れに効く薬って…そんなの持ち歩かないわよ。私医者じゃないのよ?

「さすがなのです。陽香お姉ちゃんは凄いなのです」

 まどかが纏わりついてくる。鬱陶しいわね。

「それで、魔王はここにいないんですか?」

 何で私に訊くのよ。でもまあ、いないでしょうね。

「この近くには、いないんじゃないかしら。でもここも、魔界ではあると思うわ」

 あの穴を通った時点で、魔界には辿り着けているのよ。

「魔界? それって、魔物が住んでるとこですよね? 怖いです、襲われないかな…」

 怖いも何も、魔物くらい人間界にもいるでしょ? 今まではそんなこと、無かったんだけどね。

「襲われるって、砂しか見えないなのです」

 何バカなこと言ってんの? みたいな感じに、まどかが言う。

「何も見えないからって、油断しないで頂戴。砂から出てくることだって、飛んでくることだって、姿が透明なことだってあるのよ?」

 まあ近くに魔物がいれば、私が気配で分かるんだけどね。

「そうなのです? 吃驚なのです」

 でも貴方だって、いきなり出現した魔物に襲われたことあるでしょう?

「じゃあ僕も、気を引き締めて行きます!」

 何だか、妙に楽しそうね。この場所じゃ、普通の人間は死にかねないってのに。

「それで、ここからどこに向かうの? こんなところを彷徨い歩こう、って気にはならないのだけど」

「そうですねぇ、魔王はどこにいるのですか?」

 知らないわよ! でもあの…火の村? に行ければ、いるかもしれないのよね。

「火の村にいるかも」

 まあこんなこと言ったって、方角も距離も全く分からないのだけどね。はあ、まずここがどこなのか調べないと。

「火の村? 築田村つくたむらのことですか? そこだったら、何もなくても四日はかかりますね」

 四日? どういう事かしら。

「不思議そうな顔をしていますね。もしかして、僕のこと忘れちゃったんですか?」

 私を見つめながら、悠馬は笑顔で聞いてくる。何なのかしら、やっぱり賢い子なの? てか、忘れちゃったって?

「何言ってるの? バカじゃない?」

 頭が可笑しくなっちゃったのか、人間界の人ではないのか。

「女神がそんなこと言ってもいいのですか? 優しそうなイメージ、崩さないで下さいよ」

 え…女神って…? 

「何の話なのです?」

「さあ、私も分からないわ」

 女神って私の事を言っているの? 違う、私はそんなのじゃない筈。過去のことはよく覚えていないけれど、天使だった気がするの。

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