乱世の再来
何かしら。太陽の光を反射しているだけなのだろうが、光り輝いて見える石が埋まっていた。不思議に思って拾ってみると、なんだか体中に力が漲るような気がした。なんと表現したら良いのかしら。この石を握っていれば、魔法でも使えそうな予感がするわ。実際はそんな訳ないんだけどね。
でもとっても綺麗だし、お守りくらいにはなってくれるかもしれないわね。そう思い表面に付いた土を綺麗に洗い流すと、ますますそれが普通の石ではないのだと思うことになった。緑色? 青色? 何にしても、こんな色の石、私は見たことがないわ。本当に魔法の石なのかも。
そういえば、おばあちゃんから聞いたことがある。昔々、妖精や魔物が人間と一緒に暮らしていた、そんな時代の話。魔法の石と、神様とかも登場していただろうか。お伽話だと思っていたけれど、もしあれが実際の歴史なのだとしたら?
この石は、その時代から私に送られてきた、魔法の石なのかもしれない。それはつまり、私が世界を変える存在に選ばれたと、そういうことなのね。でもまだ何も分からないから、まずはこの石を持って様子を見てみるとしましょうか。きっと勇者のお供となるべき動物たちが、私を探し求めてやってくるに違いないわ。
この退屈な世界に光が指すようで、私は嬉しくて仕方がなかった。巻き込まれることになる、脅威や苦しみなんて知らなかったから。本来ならば恐れるべき、避けるべきである変化を望み、私は自分から危険へと飛び込んでいってしまっていた。




