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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十六章” 戻る平和
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戻っていく世界

 妖精は魔力を失った人間界でも、必死に生きている。レジェンド様がいた山に逃げ込んで、辛うじて残っている魔力を元に生活をしているらしい。だからきっと、山から降りてくることはないのでしょうね。あの山を偶然見つけ、荒らしてくる人間が現れるまでは、平和に過ごしていられることでしょう。

 悪魔と天使は相変わらず。もう少し仲良くすればいいのに、喧嘩をしてばかり。だけど本当に辛いときは助け合って、そんな不思議な関係性を今でも築いているわ。大神様が変わってその関係性にも変化がみられると思ったのだけれど、そうではなかったみたいね。

 一番酷いのは神だわ。ただでさえ私利私欲の為に力を使い、正当な判断を下すことの方が少なくなっていた。それが、今や本当に酷いものだわ。大神様だってあの人は、神をきちんと律していた。凛子は神の行動を無視していたけれど、その手が神界以外に及ぶことはないようにしていた。だけど梨乃は、その力を持っていない。

 私だって、罪の意識がない訳じゃないのよ? あのときは、妙案だと思っていたの。それでも、凛子がすぐに死んでしまうということに気が付かなかった。彼女が死んでしまったあのときに、彼女を生まれ変わらせることが出来ないと分かったあのときに、何か対処を取っておくべきだったのでしょうね。

 梨乃は特別な力を持っている。けれど、大きな力を持っている訳じゃない。魔力を散々に使われたこの世界で、彼女は何をすることも出来ないわ。そのことを私は知っていた筈なのに、どうして私は何をしてあげられなかったのかしら。彼女が自分で降りることなんか出来ないのも、私は十分承知していた。それなのに、どうして助けてあげられなかったのかしら。

 まあ、梨乃だって不満がある訳じゃないみたいだからいいんだけどね。でも今の梨乃のやり方に、不満を持っている奴は大勢いるみたい。世が乱れていっているのを、私は感じていた。気付いてはいたのだけれど、私はそこから目を背けた。だって羅刹が、これで構わないと言うから。

 そして遂に、再び魔王と呼ばれるものが現れた。その横暴を止める為に、梨乃は大きな魔力を放出したんだそうよ。人間界に魔力が増えれば、人間を喰らう必要などなくなると考えたのでしょう。しかし彼女の考えとは反して、魔力の多い人間界に魔物は増えてしまった。それと、その魔力を貪るのは魔物だけじゃなかったらしく、妖精も久しぶりに山から降りたみたい。妖精たちはlegend stoneを作ったとも羅刹は言っていたわ。

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