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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”二章” 凜子を追え 悠馬との出逢い
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魔王へ続く闇

「これは何なのです? 怖いなのです」

 しかしどうして、こんなところに開いてしまったのかしら。確かにこれを使えば、魔王の元へ行けるかもしれない。でも正しく繋がっていることなんて、二十%程だし…賭けるのは危険ね。

「大丈夫、さあ入るといいわ」

 まあいいわ、どうせ私のバリアはこの程度じゃ壊れないし。

「本当なのです? まあ陽香お姉ちゃんが言うなら、まどかは行くなのです」

 まどかは震えながらも、右足を穴の上に出した。そして、闇に吸い込まれていく。

「貴方、怖がっているようね。問題ないのでしょう? 一緒に来てくれるかしら」

 私が少年を睨み付けると、小さく声を漏らして俯いてしまった。

「はい、問題ありません。その、僕も一緒に行っていいのですか?」

 あら? 予想外の返答ね。

「ええ、いいわよ。一緒に行きましょうよ、案内してくれるのでしょう?」

「やったー! 僕、凄い嬉しいです。足手纏いだから、置いてかれると思ってました。わあ、本当に魔王のところに行けるんですね」

 何よ、そんな目を輝かせないで。私には眩しいわ、見られないわ。

「じゃ、じゃあ行きますね」

 少年も怖がりながら、闇に吸い込まれていった。それに続いて、私も穴に飛び込む。

「ここはどこ、なのです?」

 私達が到着したのは、砂漠のど真ん中だった。周りを見渡したって、砂くらいしか見当たらない。

「え? 魔王はどこですか? もしかして僕、また間違えちゃいましたか?」

 えっと…、最初の印象とは随分違うわね。もうちょっと賢そうだったんだけど…ね。

「はあ、変な所と繋がったわね。んで貴方達、体は大丈夫? どこも痛くない?」

 私優しい! 凄くない? まあそんなことよりも、あの穴を通って大丈夫だったのかしら。

「足が痺れるくらいなのです」

「僕も何だか、足が痺れています」

 痺れ? 足に何か、何か着いているのかしら。痺れだったら、多分その程度よね。どこも痛くないって言ったら、一番危ないんだけど。まあ、全然大丈夫そうかしらね。

「これを痺れているところに塗りなさい、そして今日は休むわよ」

 私はバックから取り出した小さな缶を、二人に放り投げる。魔界の塗り薬、それも一番効果があるやつを仕入れて来たんだから。

「分かったなのです」

 二人は素直に、それを足に塗って行く。全く疑ったりしないのかしら。

「貴方達、名前は何と言うのですか? 僕は川崎かわさき悠馬ゆうまと言います、宜しくお願いします」

 悠馬を名乗る少年は、細くて華奢な手を差し出してくる。

「まどかは村上まどかなのです。宜しくなのです」

 まどかはぺこりと礼をする。

「私は小鳥遊陽香よ」

 差し出された手を払いながらも、私は短く答えた。

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