計画通りに
魔界へ行くと、意外と簡単に凛子には会うことが出来た。そこで彼女に、新しい大神様となってくれるよう頼むと、案の定「私には無理」と拒否。しかし実際に大神様と呼ばれるのは梨乃だと告げると、それならと同意してくれた。裏から隠れて支配するようだけれど、それが魔王にはお似合いね。なんて、凛子らしい言葉も残してくれた。
完全に計算通りだった。私たちの思惑を、凛子はもしかしたら気付いているのかもしれない。分かっていて、あえて乗っているっていう可能性もあるわ。それでも、凛子が大人しく従ってくれているのだから、それでもいいのでしょう。
他の神を何とか説き伏せて、同意はしなくとも反論は出来ないよう追い詰め、私と羅刹は見事梨乃を大神様へとさせた。式まで開き、大々的に梨乃を新しい大神様とし、どんなに偉い人であろうとも今更何も言えやしないわ。他の人物を大神様にする為には、梨乃を殺すくらいのことをしなければならないんじゃないかしら。
でもここまで思った通りにことが運んでしまうと、逆に怖くなってしまうわよね。もしかしたら、私は何かに操られているんじゃないかって。踊らされているだけなんじゃないかって、そう思ってしまうわ。だからって、余計なことを考えて、折角の計画を無駄にするつもりはないんだけどね。
「ねえ、羅刹。本当にこれでいいのかしら。私たちの選択は、合っていたのかしらね」
羅刹に相談しても、彼は意味深な笑みを浮かべているばかりで、何も答えはしなかった。夜叉姫は梨乃が大神様である以上、相談をする訳にはいかないわよね。凛子に至っては、なんだかいつも忙しそうにしているから、話し掛けることも出来ないわ。ずっと忙しい忙しいと、走り回ってばかりだもの。
まあ、結局上手く行っているみたいだから良いのよね。何も心配する必要なんてないわよね。きっと平和にもなっているのだから、何を恐れる必要もないじゃない。問題なんてない。何一つとして悪いことなんてない、全てが上手く行っている。だから良いのよ。
望めばなんでも手に入る。戦などもないから、戦に駆り出されることもない。争いごとに頭を悩ませる必要もないし、それどころか犯罪に手を染める人さえほとんどいない。平和。そう、全てが平和だった。平和を得に描いたような、理想の世界を、私たちは作れているのだと思った。これが凛子の力なのかって、改めて感心したわ。さすがよね、凛子も……それと梨乃もかしら。




