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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十五章” 消える凛子の闇 梨乃の本当の力
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大神となるもの

「まだ何も終わってはいません。大神様は自分勝手でとても良い神とは言えませんでしたが、全ての世界を治めていたのは確かです。その能力は確かです。簡単にその代わりを埋めることなど出来ないでしょう」

 浮かれ気味の私に、羅刹は現実を突き付けてきた。もう、分かっているわよ。私はかなり舐めていたけれど、大神様は凄い人だって分かってはいるのよ。彼が全てを左右していたんだし、彼は全てを決めてきた。私が見ている小さな世界ではなく、もっともっと大きなものを変えてきたんだ。

 そしてそんな彼の運命を、私は決めてしまった。私のせいで、それだけ大きな人が亡くなってしまったのだ。そう考えると、結構大きなことをしてしまったものね。ただ、羅刹の言った通り彼は自分勝手で良い神ではなかった。罪の意識を全く感じないとは言わないけれど、後悔はしていないわ。

 自分で自分の行動を正当化して、自分をヒーローにしようとしているんじゃない。正当化するつもりはないけれど、後悔はしないっていうだけ。彼を信頼している者は勿論いただろう。彼を慕う者からしてみれば、私は恨むべき敵ということになる。それでも私は後悔なんてしないわ。

「今度は素敵な神に、その座に就いて貰いましょう。もうこんな悲劇を繰り返させはしない為」

 一応はそう言っておくけれど、権力によって性格も変わってしまうのだから選び辛いものだわ。それに優しいだけで能力がなければ、大神という座に就くことなんて出来ないわ。でもこれで私が就いたら自意識過剰以前に、大神の座を欲するがあまり彼を誑かし、遂には殺してしまったということになってしまう。

 そんな訳にはいかないわよね。羅刹や夜叉姫に関しても、同じような理由から大神の座には就けないわ。出来る限り、大神様の暗殺と関わりがなかった神が就くしかないわよね。そもそも、暗殺と言われていること自体が気に入らないのに。ってな私だから、権力者に向かないことも分かっているわ。

「ねえ、神じゃないといけないの? それ以前に、大神と呼ばれる存在は、本当に必要なのかしら。もうどうせ種族は殆ど残っていないのだし、各種族の長によって統治していけばいいじゃない。全てを治める存在なんて、そこまで大き過ぎる権力なんて、そんなの……」

 悲しげに夜叉姫は言うのだけれど、真面目な顔して夜叉姫は言うのだけれど、そんなの所詮は幻想に過ぎないわ。全ての頂点となる存在がいなければ、結局は争いを生むだけなの。もっと大きい権力を求めた者同士が、争いを起こしてしまうことになってしまう。そうに決まっているのよ。

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