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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十四章” 陽香と言葉 凜子の心
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戻り戻りて

「悪いのは魔王。倒さなければ」

 周りから聞こえてくる、そんな言葉が痛かった。強く鋭く私の心を貫く。かつての魔王が作った、魔王は必ず悪い奴だという公式。それを、凜子はその優しさと努力で見事に打ち破って魅せた。ただそれさえも、陽香の言葉によってすべて無駄となってしまったんだ。私のせいで。

「魔王を倒すのです。私に任せて下さい。私が新しい大神となり、華麗に魔王を打ち取ってみせましょう。この乱れた世も、私が大神となれば必ず正すことが出来ます」

 胡散臭い言葉を並べて、梨乃は皆に語り掛ける。彼女の貪欲さを考えれば、新しい大神になるには相応しいとも言えるわ。でもそれだと、全く何も変わらない。折角古い神の考えを一掃しようと大神様に死んでまで貰ったんだから、そんなことを許す訳にはいかないわ。

 悠馬、貴方は羅刹じゃあないの? 力はなくとも、羅刹の心が死んだ訳じゃあないのでしょう? 何か、梨乃を止めるような言葉を発することも出来る筈。ねえどうして? どうして、どうして黙ったまんまなの? どうしてただ微笑んでいるの? 貴方は私を助けてくれるんじゃ、ないの……?

「姫神様、貴方を待っています。また何度でも、貴方を待っています。いつか陽香さんの中に、僕は貴方を見付けてみせます。だから、ごめんなさい」

 羅刹のその言葉を最後に、私の意識は途絶えてしまった。消えて行く恐怖に駆られながら、私はまた、眠りに付いたの。呪いを掛けられた当初と同じ、強い呪いの力で陽香が強まり姫神がなくなっていくの。

「まどかの仇なんだから、ますます魔王を許す訳にはいかないわ。多くの街を、多くの人を殺してきたアイツを」

 正義やなんやと語っているけれど、そんな梨乃に騙される訳にはいかない。魔王を倒す為、魔物たちを倒す為に。だから魔王の手下である梨乃になんか騙されないし、皆を騙させる訳にもいかないんだわ。

 ここには沢山の人や天使がいる。ストーンもほぼ全部揃っているように思えるし、妖精たちだってほぼ全員いるんじゃないかしら。きっと悠馬が頑張って、皆を説得して集めてくれたのでしょうね。これだけ仲間がいるならば、どんな強敵だって怖くない。

 私は気が付いたの。一人だと強い相手だって、皆と一緒なら簡単に倒せちゃったりするんだわ。ずっと一人で戦って来たけれど、まどかや悠馬、望海や歩に出会って気が付いたの。その強さに気が付いた今の私なら、本当の天使に戻れる筈。そして魔王なんかに負ける筈もなくなるの。

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