表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”一章”  滅ぶ町 陽香の旅の始まり
12/150

目的を果たす為に

 とりあえず一番近くにあった、大きめの家に入ってみた。

「ばぅ、ぐぁう…ぎゃぅ! ヴヴァァ!」

 しかしそこに待っていたのは、吠える人間であった。これは…?

「危ないわ、少し下がって頂戴」

 私は封印しようと、まどかを家の外に追い出す。でも余り、好きじゃないタイプだわ。

 完全に人間の姿、という事はまだ人間は生きているのだから。はぁ、私は立場的に殺す訳にはいかない。

 上手く、上手く封印できればいいのだけど。

「ぐぁぁ!!」

 私に気が付いたのか、その人間は襲い掛かってくる。姿を見る限り、ただのお爺さんね。ってことは、100%の力でもそんなに無い筈。

 そう読んだ私は、右手に悪を浄化する光を集め始めた。しかし私の読みは少し、甘かったようだ。

「ぎゃるっ!」

「ひゃっ!?」

 私は少女のような悲鳴を上げて、お爺さんに押し倒される。何よ、これくらい。私は直ぐ上にあるお爺さんの顔に、浄化用の光を纏った右手を当てた。

 しかし光に変化はなく、お爺さんに変化もなかった。本当なら、悪を浄化して光は消えて行く筈よ。そしてこうなったという事は、お爺さんは何かに取り付かれた訳じゃない。そうゆうことなのだ。

「ひゃっはっは!」

 笑いながらお爺さんは、私の胸もとに片手を乗せる。ふぇっ!?

「ちょっ」

 な、何するのよ。お爺さんの手は、遂に私の服の中に…。

「何すんじゃアホ!!」

 私の口から私の物とは思えない低レベルな罵声が飛び出し、お爺さんが吹っ飛んだ。いや、蹴り飛ばしただけだから大丈夫よね。

「陽香お姉ちゃん!?」

 私の叫び声を聞いて、まどかが飛び込んできた。

「酷いのぅ、老人には優しくするもんじゃぞ」

 何このお爺さん、普通に立ち上がりやがった。

「ねえ爺さん、ここに魔王は来なかったかしら?」

 頼りにならなそうな爺さんだったけど、私は一応訊いてみた。

「魔王? 魔王かどうかは分からんが、少女が村人を攫って行ったぞ。んー、魔王って感じではなかったのだが…やっていることは魔王ってレベルじゃなかったと思う」

 少女が村人を? いい情報かも知れないわね、もっと詳しく聞いてみましょう。

「どんな少女? 名前は分かる?」

「えっと、そうじゃのう。とても綺麗な人じゃった、特に黒髪なんて凄く綺麗で。儂も危うく、殺されに行くところじゃった。名前は、凜子りんこ様とか言ってたかのう。それと、凄く笑顔だったのを覚えておる」

 へえ、このエロジジィ結構な情報持ってるじゃないの。

「どこに行ったか分かる?」

「そこまでは、分からんな。でも、legend stoneを狙っておるのは確かじゃな。だから今度は、”fire stone”なんじゃないかと儂は思う」

 ふ~ん、このエロジジィを信じてみましょう。

「お礼にってことで、…」

 エロジジィはニヤリとする。

「何もしないわよ。さあまどか、早く行きましょう」

「もう行くなのです? 分かったなのです」

 それにさっさと、医者を見つけないと。それこそこのジジィに聞くべき? でもジジィ、もう目が逝っちゃってるのよね。

「仕方がないわね、少し目を瞑って」

 私は仕方がないので、自分の力でまどかを回復させた。

「これで大丈夫でしょう、さあ急いで」

「はいなのです!」

 まどかは元気に答える、五月蝿いわねえ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ