表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十三章”  私は負けない 力を貸してレジェンドストーン
112/150

大天使の下へと

「心配し過ぎよ。まあ、貴方が言うならそうするわ」

 羅刹が着いて来てくれない為、知略者が別に必要だと考えた。だからとりあえず、決定事項としてブックちゃんは連れて行くことにした。その他にも、率先して着いて来ると言ってくれた数名を連れて出発する。

「急ぎましょう。この間に、神が何をするか分かりません」

 ブックちゃんがそう言うので、私と凜子は頷き合いスピードを上げる。ここから上空に飛んで行けば、辿り着くことが出来る筈よ。神であった私からすれば、そんなの大した距離でもない。

「もうすぐ着くと思う。危ないから目を瞑って」

 かなり高くなった頃、凜子はそう呟くように言って妖精たちを自分の胸に抱いた。私や凛子ならば耐えることが出来るけれど、妖精にとっては苦しくなってくることでしょう。

「こんにちは。協力して貰いたくて来たのだけど」

 まず天使の方から話を付けようと、大天使の下へ向かった。私の姿を見ると、容易に会わせてくれる。もうちょっと警戒心を上げたらどう? 平和な天使の中では必要ない心なのかもしれないけどさ。

「神が横暴を働いているの。女神として、それを私が止めないといけないと思って。それでも私だけの力では無理だわ。お願い、私を助けて」

 天使の中では、案外女神は絶対主義だったりするの。だから私が救ってくれと願えば、きっと協力をしてくれる筈。案の定大天使は私の話に頷いてくれた。

 それだけじゃないの。共感してくれるだけでも嬉しいし、利用し甲斐があると思うでしょ? でもね、涙を流してまで悲しんでくれたの。私のでたらめ九割のほぼ作り話に。逆に利用し辛いくらいだわ。

「おいらは悪と呼ばれている。けどよぉ、本当の悪がなんなのか不思議になった。おいらは悪の立場として、皆に正義でいて貰う為働いた。それでも、あんな横暴を許す訳にはいかねぇ」

 凜子の服の中からピョコッと顔を出し、ダークちゃんは語っていた。それは私も感心するほどの演技力で、苦しそうに悲しそうに。時々こちらに向ける笑顔がなければ、演技ではないと信じてしまいそうなほどであったわ。

 そもそもな話、ダークちゃんの存在自体気が付かなかったわ。いつからいたのかと思ったら、いつどんなときにもいたと言うのが返答であった。妖精を誘き寄せようときたときも、ダークちゃんだけはそこにいたとのことらしい。

「腐り果ててしまった神界。それを正す為、私は魔王を名乗っているの。信じて、人間界に降り立てばきっと分かる筈だから」

 最後に語った凜子の言葉は、きっと演技なんかじゃなかった。彼女は本心を語り掛け、訴えていた。だから、魔王と言う信じて貰い難い立場でも、大天使の説得をすることが出来たのだと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ