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妙な感覚
暫く歩き続けていると、建物が並ぶ町らしき所に辿り着いた。果たしてここは、どこなのかしら。途中で死んでしまい、死者の世界に来てしまったというんじゃなければいいのだけれど。
ああ、でも逆ね。私の場合は、死者の世界に戻されたと言う方が正しいかしらね。
「陽香お姉ちゃん、町なのです。人がいないか探してみようなのです」
まどかが嬉しそうに、覚束無い足取りで近くの建物へ歩んで行く。
「そうね、でも十分気を付けるのよ?」
「はいなのです、分かってるなのです」
本当に分かっているのかしらねえ、まあ今はそれを置いておくとして。
この町、何だか妙だわ。人の気配は微かに感じる、そうなのだけれど。でも何かが可笑しい気がするわ。
もしかしたら人に化けた、妖怪とかなのかしら。それが一番納得がいくのだけれど、それが本物の人なんだったらば少し不味いかもしれないわ。
「陽香お姉ちゃん、行かないなのです?」
まどかは無邪気に、私の顔を覗き込んでいる。まあいいわ、会ってみれば分かることよね。
「あら、ごめんなさい。少しボーっとしてしまったわ、さっさと人を探すとしましょう」




