求められて
「多分疲れと、疲労のせいね。急いで建物を見つけて、ゆっくりと体を休ませましょう」
「えっ?まどかはそんなに疲れているなのです?だって何だか、陽香お姉ちゃんの方が大変そうなのです」
私の方が大変そう?はあ?何訳分かんないこと言ってんの?そんなの当り前じゃないの、私は日々頑張っているものね。
「ええ、私の方が疲れているわ。私の方がよっぽど大変だわ、でもそれも慣れればいいの。辛いのに慣れてしまえば、今更嘆いたりしないわ」
「そうなのです…、それは分かるなのです。でもまどかは、どうしても苦手なのです」
まどかは辛そうに歩いていたが、私に微笑んでくれた。そうそれよ、それが痛みに耐えるという事。私がとても、嫌なこと…。
「そう、なら頑張って頂戴。私は貴方を待ってあげるほど、親切な人間ではないけどね」
まあそもそも、人間かどうか怪しいしね。
「はいなのです。まどかは頑張るなのです、負けないなのです」
へえ、真面目ねえ。私だったら絶対怒るとこだわ、序でに途中で歩くのもやめてると思うわ。
私達は多少励ましの言葉を掛けながら、その日も歩き続けていた。歩いたその先に、人がいると信じて。そう、私達が救うべき人が。私達を待っている人が、いると信じて。
ええ、本当は分かっていたのかもしれないけれど。自分は誰かに求められている、そう思うことで歩き続けていた。歩き続けていられた。