恐怖の祈り
「ひゃっひゃひゃっひゃ!!へへへへへ、ああ良いねえ、良いねえ!」
聞きたくもない、魔王の甲高い叫び声が聞こえてくる。どんなに耳を塞いでも、頭の中で木霊する。いや、イヤ、もう嫌なの。もうヤメテ!怖い、怖い、怖いよう。誰か、誰か私を助けて…。死にたく、ない。
「ヘヘヘッヘッヘ、ッヘッヘッヘヘヘ。ふはははは、ひゃっはひゃひゃひゃ。ヴヴぁヴぁ、ひひゃひゃひゃ。もういいかい?ひっひっひひ!」
気持ち悪い、誰か助けてよ。
「あれ?こんなところに隠れてたんだ。見~っけ」
嘘、死にたくない…。私の少し先で男性が、魔王に捕まった。魔王の細長く気持ちの悪い手に頭を掴まれ、気持ちの悪い髪の毛が体中に絡まり、身動きが取れなくなっている。恐怖に歪んだ顔が、こっからでもよく見える。いや、私がただ想像しているだけかも知れない。
「ぎゃあ~~っ!!やめ、たっ。………」
さっきの人の、悲鳴…?しかしそれも、すぐに途絶えてしまった。殺され、たの…?そして私も、同じように簡単に殺されてしまうの…?
「もう死んじゃった、ふふふふ。すぐ死んじゃって、あんまり面白くな~い」
魔王がこっちへ向かって死体を投げてきた。そしてその死体は、私の目の前に落下した。顔はグチャグチャで、もう何が何だか分からない。体もそこらじゅうに、魔王の髪の毛が巻き付いた跡が青緑色に残っている。右足は殆ど無くなり、血が溢れ出ている。その上、**が***している。気持ち悪い、私もそうされてしまうの?
「嫌……」
「ん?ああ、まだいたんだ。ひっひっひひ」
私が死体に気を奪われていると、私の目の前には魔王が立っていた。いや~っ!
「誰か、助けて」
私の祈りは誰にも届かず、魔王は私の頭を掴んだ。さっき見たのと同じように、私の手足も拘束されていく。
タス、ケテ…。ダレカ、タスケテ…。