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糞兄貴に黙祷を捧げよう。

息抜きの作品です。

コメディを目指していますが、作者のツボがおかしいので、笑えないところもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。

フカフカで天蓋付きなキングサイズのベッドに、少女と見紛う様な少年が、死んだように眠っていた。


黒くてツヤのある長くてサラサラな髪。華奢な体つき。パーツが整った小さい顔。キメが細かく張りのある白い肌。


その全てが、彼、フランを少年ではなく、少女と認識させる。


外はまだ陽が昇り始めた時間。


サテン生地のカーテンの隙間から、陽の光が差し込んでくる。


屋敷の人達は、使用人以外起きていない。




「おぉ~兄ぃ~様ぁ~~~~!!!!!」


バアアアアアアアァァァァァァァァン!!!!!!


そんな叫び声と共に、フランの部屋の扉が、盛大な音を立てて開かれた。


その音に強制的に起こされたフランが見たのは、自分の部屋にズカズカ入ってくる、妹のメイシャだった。




「フランお兄様っ!!エヴァンお兄様がぁ~!!」




まだベッドの上にいるフランの所に駆け寄ると、メイシャは泣き崩れた。


何も話さない妹を落ち着かせると、フランは、テーブルの上に紅茶を用意し、メイシャに勧めた。


様子を伺いながら、状況を把握しようとする。




「メイシャ。エヴァン兄さんがどうかしたのか?」


感情の起伏が激しい妹を、刺激しないよう慎重に聞いた。


このやり取りには慣れたものだと自分でも思う。


まあ、ほぼ毎日やっている事なのだから、慣れて当たり前か、と軽く自嘲。


「エヴァンお兄様が、私の大切にしていた熊のぬいぐるみを、私の許可もなしに勝手に処分されたのですわっ!!」


大切にしていた熊のぬいぐるみとは、幼馴染から貰ったというあれだろうか?とフランが推測していると、妹がまた声を荒げた。





「大体、クゥがくれたぬいぐるみを、公爵家の者がこんな汚いものを持って恥ずかしくないのかっ!とか言って捨てたのですよ!?本当にありえません!!クゥが平民だからといって汚いとはっ!!これは(れっき)とした差別です。彼への冒涜です!!そういう差別をするあなたが人間としてどうなのですかっ!?人間性に問題のあるあなたにクゥを汚されたくありません!!」





最後はココにはいないエヴァン兄さんの悪口になっていた。


二人称がエヴァンのことだということは分かるのに、なぜか自分に言われているようで、萎縮してしまう。


メイシャはというと、言い終わってスッキリしたのか、顔には清々しいと書かれている気がするくらいに、さっきまでの剣呑な雰囲気が無くなっていた。






「フランお兄様もそう思いますよねっ!?」


フランが呆然としているところに、メイシャがキラッキラな笑顔を向けて問いかけてきた。


「そうだね。これはどう考えても、エヴァン兄さんが悪い。」


「そうでしょう!?」


フランが肯定の意を表すと、やっぱりフランお兄様は頼りになるっ!、とばかりにメイシャは目を輝かせた。


「公爵家の時期当主となる人が、平民だからと差別をしてはいけない。それはいずれ、町民の反乱という形で返ってくるだろう。そこはこれから直していかないとなぁ。





 ・・・・・!そうだっ!!父様に頼んで、俺がエヴァン兄さんを調ky・・矯正させようか・・・・」


最後の方は声が小さくて、メイシャには聞き取れ無かったが


「それに、メイシャを泣かせたことが何よりも許せないしな。」


その一言を聞いて益々メイシャはフランが好きになった。








紅茶を飲み終わると、メイシャは、笑顔で部屋に戻っていった。


メイシャが、自分の部屋から出ていったところで、フランは再びベッドに横になった。


フランの目は、さっきの妹思いな優しさとは打って変わって、鋭い光を宿していた。


窓の外に目を向けながら、周りに聞こえないように叫ぶ。





「あ”ぁ”~あぁ~あああああああああぁぁぁぁ~~~~!!


 糞兄貴がっ!!

 面倒事増やしやがって!!

 やっぱ、調教し直さなきゃかなぁ・・・・・








 いや、それこそ面倒だし・・・・

 でも・・・まて、ここで奴を大人しくさせておいたほうが、今後の面倒ごとが減るか?」


不吉なことを呟いた。


もし、使用人が聴いていたら、間違いなくエヴァンに黙祷をしただろう。

誤字・脱字などがあれば、指摘していただければ幸いです。

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