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ストーカーが、め●としました。

2年の春を終え、6月に差し掛かった。

花粉の飛び回る時期を越え梅雨の季節になった。

案の定、今日も天気は雨。


「雨、やみませんねぇ…」


俺と望月は、望月が用意してくれた部屋で放課後をのんびり過ごしていた。


「当然だろ、梅雨なんだから」


「そう、ですけど…」


望月はソファーの背もたれに顔を埋めながら、持参の折りたたみ傘をぎゅっと握った。

?、何だ?何が不満なんだ?

雨が降ると肌の調子が悪くなる、だとか、色々聞くけど望月の肌は(良くわかんないけど)絶好調のように見える。


「なぁ、何時まで居るの?」


雨が降ってるせいだろうか、じめじめして部屋が暖かくなる。

自然と眠気も誘ってきて、ふあぁと欠伸を零してしまう。


「そろそろ帰ります?残ってても、することありませんし」


元々この部屋に集まって何するかもわからないんだが。


「んじゃ、帰るか。雨が酷くなる前に」


俺は学校用のカバンを持つと立ち上がり、ドアへと向かう。

望月と言えば、ソファーの上に完全に尻をソファーにつけた状態(俗に言う女の子座り?ってやつだ)で座ったまま動かない。

おーい、と声を掛け望月へと近寄る。

その顔は拗ねたように口を尖らせ、むすっとしていた。


「帰るぞ?」


軽く声を掛けてみる。

少し間があり、


「わかってます!」


と、声を少し張り上げ、望月は自分のカバンを掴むと、ずかずかと部屋から出て行ってしまった。

おいおい、なんだってんだ。


俺は部屋の鍵を閉め、望月を追いかけた。

先に帰っていると予想していたが、あいつは俺が来るまで何時間でも待ってそうな人間であったと思い出した。

案の定、望月は玄関で靴を持ったまま、後姿で立ちすくんでいた。


「ったく、早いっての。鍵も掛けていかないし…」


「美弥くん」


ぼそりと呟くと、望月はこちらを向くと、


「傘、忘れてきちゃいましたっ」


てへっと言う効果音(?)が聞こえてきそうなほど、ウインクをかまし、頭を軽く左手でこつっと叩くとぺろりと舌を可愛らしい仕草を見せた。


「嘘つくんじゃねぇよ。さっきっから持ってたじゃねぇか」


「ちっ、バレましたか…」


思いのほか舌打ちがガチすぎて俺は凹みそうだよ。

ってか、傘忘れて何のメリットがあるんだよ、濡れるだけだぞ?


「いいんですっ、傘を忘れたんです!そういう設定です!」


設定って、もう言っちゃってんじゃねぇか!確信犯丸出しだな。


「はいはい、忘れたのな。だが、で?って感じなんだが」


「だからー、そのー、ですねー?あのぉー」


両手の人差し指をくるくるしたり絡ませたりと、もじもじしている。

おい、何か言いたいならはっきりしろ、それと、かわいくないぞ。

望月はすーはーすーはーと深呼吸すると、むんっと真剣な顔をした。


「あのですね!」


「はいはい」


「傘を忘れたので、美弥くんの傘に入れてくださいっっ!」


大きな声で顔を赤くしながら黙っていたことを告白した。

え?そんなこと?

コイツは俺をどうどうとストーカーして、俺専用ストーカーとか言って、あげくまだ返してもらってない(←此処重要)体操着の長ズボンを取り上げもした。

此処までやって、今更何を恥ずかしがることがあるんだっての。


「あぁ、まぁいいけど?」


「ほんとですか!!」


何でそんな嬉しそうなんだよ。





「あの、美弥くんの方に傾けちゃっていいですからね?」


望月の嘘と、俺の優しさの結果、相合傘が完成した。

傘は俺が持ち、望月は自分の方によってこないようにと支えている。

こうして微妙な傾きの相合傘が完成した、と言うわけである。

正直少しカオスである。

お互い力加減が判らず外から見ると、傘がぐーらぐら揺れる。

俺からしては大分恥ずかしい。

女子と相合傘、お互いに押し付けあうようにしながら帰り道を行く。

こんなとこ、友達にでも見られたら、不登校になってやろうじゃないか。


「それじゃ、また明日」


傘をよろよろさせながら歩いてるうちに、望月の家へと着いた。

そういや、帰り道全然会話しなかったな、なんでだ?


「はい、また明日」


相合傘と言う願いを叶えてやったと言うのに、不満そうな顔をする。

何だ、まだ何かあるのか。


「い…」


俯き気味な望月から、小さく声が聞こえた。


「ん?」


「今すぐ私を抱きしめてっ」


躊躇いながらもバッと両手を広げ、抱きしめてもらう体制をとった。

いきなりどうした。

真っ赤な顔をしながら我に返ると、わたわたと慌てながら顔を隠す。


「な、なんてねっ」


顔を隠しながら望月は家へと入っていった。

…め●とかよ。

俺は望月の家の前で一人残された。

頬を掻きながら、抱きしめてやればよかったか?何てとち狂ったことを考えながら、俺も帰路へと戻る。


翌日あの部屋で聞いた所、顔を赤めながら「め●との真似です」と告白した。

あぁ、だろうと思ったよ、誰でもするよな、そのネタ。

良いわけのように「恋に落ちる音がしたんです!」と訴えられた。

はいはい、もうそのネタはいいよ。

望月が昨日と同じように窓の外へと目を向けた。

案の定、今日も雨である。

まさか、雨の日は毎回あれして帰るわけじゃないよな?

望月に期待した目を向けられた。

何れ、本気で友達に見られるかもな…。俺の苦難は6月全てを埋め尽くした。




…あれ?何か今回、良い感じに終わったんじゃね?

俺的にはちょっと望月が鬱陶しかったけどな。

まぁ、たまにはしんみりとした話だっていいじゃないか、許してくれ読者よ。

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