ストーカーと、交換日記してみました。
「貴方は今までストーカーのイメージが酷すぎでした。ですが、私と出会ってイメージが変わったと思うんです!」
3日ぶりに逢った望月が何かいきなり語り始めた。
「きっと、可愛くて今まで気になっていたけど、話してみると面白い子、だと思うんですよね~」
「いや、全く話を聞かない子だと思ってるよ、現在状況は。それに、この前俺のカバンから出してったズボン、返してもらってないんだけど?」
前回、1話目の時に俺はズボンを取られていたんだ。
あれ以来、逢ってないし、何時も後ろから視線感じてるし、とにかくあんまい接点は無かった。
俺としては、それが一番嬉しいことなのだがな。
「ってことで、ストーカーをではなく、私を知ってもらう為に、交換日記、してみませんか?」
「いや、だからズボンを………、交換日記?」
そんな一昔前のを良く引っ張りだしてきたな。
今の時代、メールとか電話とか色々あるのにな。
いや、こいつに番号とかメアドとか教えたら、終わりだと思う。
俺の予想では、1日平均50通来そうな……。
教えて、と言われても教えないようにしような。
「交換日記なら、私の事、色々知ってもらえると思うんですっ、会話じゃぁ美弥くん、逃げちゃうし…」
当然だろ、と言ってやりたいが、やめておこう。
「で?日記は?どっちから始めるの?」
「ノートは私のがあるので、順番は私からで、いいですよね」
「ん、ああ」
今思ったけど、交換日記って、もっとこう、大人数でやるものだと思うんだが。
楽しそうなので、よしとするか。
「早速書いてきました!良いお返事待ってます!」
翌日の早朝、俺が5時に起きて新聞を取りに言った時、玄関で待っていた望月に交換日記を渡された。
朝5時って、何時からいたんだ?まさか、此処で書いてたってわけじゃないよな?
「ん、じゃぁ明日渡すよ」
表紙に交換日記vと可愛らしい時で書かれていた。
周りにはハートや星やらが散りばめられている。
流石は女の子ってとこだな。
一方の望月は俺の返事も聞かず、猛スピードでどっかへ消えていってしまった。
アイツ、陸上部にでも入ればいいのにな。
「ふあ……」
外へ来た目的の新聞を郵便ポストから引き出すと、新聞とノートを脇に挟み、家へと入った。
「さて、学校行くまで時間もあるしな、返事でも書いてやろうか」
朝飯をおえ、自分の部屋へ戻ると、さっき受け取ったノートを開いた。
ん?何だこれ、中途半端に使ったのか?残りのページが1,2枚しか残っていないんだが。
見てはいけないとは思うけど、これじゃ書けないしな、と言う言い訳を考えつつ、ノートの1ページ目を開いてみた。
【5月17日 (木) 担当:望月詩織】
と、書いてあった。
あれ?昨日の日付、やっぱこれ、交換日記専用の、だよな?
でも、残り1ページしか…。
続きを読んでみた。
【今日は、みゃーくんと、交換日記を始めましたっっ\キャーッ/
初めて、って事なので、私の一日を書こうと思います!てへっ☆】
…アイツ、頭の中でみゃーくんとか言ってたのか…。
【5月16日
3時:みゃーくんのお家の前で待機。
4時:みゃーくんのお部屋を覗き見、寝顔カワイイッv
5時:寝顔を見ながら朝食。
6時:寝顔を見ながら着替え。
7時:みゃーくん起床。】
…3時に俺の家に来てる、だと?
いや、その前に、俺の部屋毎日カーテン閉めてるはずなのに、何で寝顔見られてるんだ?
以下、似たようなことばっかなので省略させていただく。
1時に勉強ってことは、約1時間しか寝てないのか、あいつ。
あ、因みに備考は1時間おきにびっちり書いてあった。
これだけで10ページは使ってるぞ。
続いて、何か色々コーナーが作られていた。
【みゃーくんの好きなファッションコーナー】
【みゃーくんの好きな漫画コーナー】
【みゃーくんの好きな食べ物コーナー】etc
まぁ、予想通りだよこのやろう。
まともなもんがなかった、て言うかこれ俺向けって言うか、俺が居ないと成立しないコーナーだよな。
もういい、きりが無いから、最終ページに返事書いておくか…、ん?
【フリーページ
次はみゃーくんの番っ、返事、楽しみにしてるよっ^∀^】
…返事、ってことは、何か書いたのか?見たところ、なかったが、適当に書いておくか。
「おら、返事書いたよ」
翌日、俺は返事を書いたノートを望月の手へと渡っていった。
「か、書いてくれたんですねっ、嬉しいです!」
書いてくれたって言ったって、自分で書けって言ったくせに…。
まぁ、嬉しそうにしている、よしとするか。
「前はポストに入れておいたのに、ゴミ袋に入っていて、ショックだったんですよ?」
……そう言えば、1年の10月に血と涎の痕でベッタベタのストーカー日記がポストに入ってた気がする。
気がするだけに留めておこう、これ以上考えると、俺のメンタルが崩壊する。
「ノート終わったから、必然的に終了ってことになるけど、いいよな」
「はい…、残念ですけど…」
かくして俺と望月の交換日記は終了した。
いやぁ、何事も無くて安心したって言うか、何事もなくて逆に怖いって言うか、次回をビクビクしながら待っていなくちゃいけないなんてな。
「それじゃぁな」
ノートを渡した俺は望月と別れた。
その日の夕方、学校から帰宅した俺の家のポストの中に、郵便物の他に、見覚えのあるノートが1冊入っていた。
これ、さっきの交換ノートじゃないか。
何で入ってるんだ?いや、まぁ、アイツが入れてったしかないんだが。
表として入っていたので裏をちらっと見た。
【5月18日(金) 担当:望月詩織】
望月の担当ページがもう一度帰ってきた。
最終ページの裏のすべすべしたページと、その反対のところに、びっちり書いてあった。
何で質問に答えてくれないかったのか、とか、コーナーの1つ1つにも答えがなかった、とか。
もう二度と、あいつと交換日記なんてしないと誓った記念日になった。




