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炎の犬

作者:REE
最新エピソード掲載日:2026/01/05
警察犬訓練士として働いていた加賀谷吉行は、ある冬の夜、帰宅途中に自宅の火災に遭遇する。炎は妻かおりと幼い娘よしこの命を奪い、彼の人生は一瞬で崩れ落ちた。放火犯は「十五歳の少年」と判明するが、少年法の枠の中で裁きは十分に届かず、加賀谷の心には喪失と怒りだけが残る。

やがて加賀谷は仕事も生活も手放し、河川敷でホームレス同然の日々を送る。そんな彼のそばに寄り添ったのは、拾った野良犬シロだった。言葉を持たない犬の温もりだけが、加賀谷をかろうじて現実につなぎとめる。

その頃、街では放火が相次ぎ、加賀谷は炎の匂いに過去を呼び起こされていく。さらに、火を弄ぶような若い男の影を見かけたことで、加賀谷は「五年前の放火犯が戻ってきたのではないか」と疑い始める。もう一頭の野良犬クロも加わり、加賀谷は犬たちを再び訓練しながら、復讐へと傾いていく。

そんな彼の前に、かつての同僚刑事・杉本が現れる。杉本は加賀谷の心の危うさを察しつつも、止めきれない葛藤を抱えながら「それでも人を信じたい」と告げる。加賀谷はついに、犬たちとともに夜の河川敷で若い男を追い詰めるが、恐怖に震える相手を前に、復讐の先に何も戻らない現実を突きつけられる。男が落とした診察券から、彼の名が友田健一だと知る。

加賀谷は友田の母を訪ね、そこで思いがけない事実に出会う。妻かおりと友田の母はかつて同じ保育園で働き、幼い友田は寂しさの中でかおりに救われていたのだ。友田は罪を抱えたまま炎に取り憑かれ、かおりの声を求めるように火を見続けていた。

加賀谷は友田と向き合い、憎しみだけでは妻の優しさまで遠ざけてしまうことに気づく。犬たちの無垢な受容に背中を押され、加賀谷は「赦し」を選ぶ。友田は自ら警察に自首し、加賀谷もまた、失われた人生を生き直すために立ち上がる。

春。加賀谷は新たな場所に犬の幼稚園「ONE TWO CLUB」を立ち上げ、命を守るための訓練を再び始める。炎に焼かれた過去を抱えながらも、彼は犬たちとともに、もう一度“光の方へ”歩き出す。

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