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人類未満  作者: r_kobori
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〈六章〉布陣

旧軍事基地の射撃訓練場。

そこでは今日も発砲音がこだましている。そこには、何の不思議もない訓練の一幕があった。

——ただ一つ、銃を撃っているのが子供だという事を除けば。


エネミーの襲撃から3ヶ月が経った。次の襲撃で被害者を出さない為に、そして知能持ちのエネミーを確実に討伐する為にネバーリサーチは訓練に明け暮れていた。


ーーーーーーーー

[測定完了]

成功率 “97%”

ーーーーーーーー


アキの横のモニターに小さな文字でそう記された。


アキ「くっそ...後半ミスった。」


アキはエネミー肉による肉体強化を重ね、今ではネバーリサーチでも屈指の実力者となっていた。


その後ろではレンが『人体看護』と書かれた本を片手にカイの説明を受けている。

エネミー肉での肉体強化が不可能なレンは後方支援として皆のサポートに努めていた。


射撃音が続く中、一発だけ妙に外れた音が混じる。

A団のメンバーの1人、ナギの元からであった。

自信のなさが滲む表情。所々汚れた服に、顔にはメガネが掛かっている。


ナギ「……っ、すみません!」


ナギは慌てて銃を下ろし、的から視線を逸らした。

リュウが眉をひそめる。


リュウ「力、入れすぎだ。肩が固まってる」


ナギ「あ、はい……次は、ちゃんと……」


引き金を引く直前、ナギの手がわずかに震えた。


——パン。

弾はまた中心を外した。


訓練は終わりナギは食堂で1人パンをかじっていた。

少し俯き、その顔には失意と雪辱が詰まっている。


「隣...いいかな?」


顔を上げるとそこにはレンの姿があった。その手には菓子パンとココアが握られている。


レン「ナギくん...だったっけ?さっきは災難だったね」


レンはそういって笑いかけた。


ナギ「あなたはレンさんですよね。確かC団の...」


レン「あれ?私ってもしかして有名人?」


ナギ「えっと...いつも団長達が話しているので...」


レン「あー...なるほどね。」


その時会議室にはアキとリュウ。そして資料をいくつか持ったカイの姿があった。


リュウ「やっぱりレンは前線でこそ輝く力を持ってる。戦闘員の死因の殆どは負傷する事による機動力の低下だ。レンにはそれがない。」


カイの持つ資料にはレンの体質について調べた結果が書かれている。

避難所のレンの血は致死量を上回っていた。それなのにレンは変わらず生きている。

そこから示される答えはレンは卓越した“再生能力”を持つという事であった。


アキが即座に反論する


アキ「俺は反対だ。再生能力の限度が不明だし、確かめる方法もない。そんな状態でレンを故意に傷つけられない」


リュウ「...戦場で死ぬ奴はそいつ1人のせいで死ぬ訳じゃねぇ。レン1人が前線に居るだけで何人の命が助かると思ってる?」


アキ「じゃあ誰も死なねぇようにすればいいじゃねぇか!その為の訓練じゃねぇのかよ!」


アキが珍しく口調を荒げる

リュウは勢いよく机を叩いた。


リュウ「んな理想論叶う訳ねぇから

提案してんだろが!訓練だけじゃどうしても死者ゼロは難しいのもわかんねぇのかよ!」


カイ「2人とも落ち着けよ。レンは今治療や看護の知識も付いてきてるし、そもそも肉体強化無しでは銃をまともに使う事すら難しいんだ。後ろからでも出来る事はあるだろ。」


レン1人に背負わせまいとするアキと皆を守ろうとするリュウ。この2人の討論はここ数日続いていた。

そんな事は露知らずレンはナギとの会話に花を咲かしていた。


ナギ「僕は銃もサポートもこれっきしで...みんなに迷惑をかけてるのが申し訳なくて...」


レン「私だって最近やっと治療の知識ついてきたとこだし、全然だよ?」


ナギ「そんな事ないよ。レンさんは僕なんかより努力しとるやん。それだけですごいわ...」


話終わった後、ナギは思い出したかの様に口を継ぐんだ。


ナギ「あっ..すいません!僕なんかがこんな馴れ馴れしく...」


レンは少し笑いながら返す。


レン「別にいいよ。その喋り方もいいと思う!」


ナギ「いやいや...そんな事ないですよ...」


そこで昼休憩が終わるチャイムがなった。


レン「あっそういえばこの後カイさんに質問したい事があるんだった」


レンはそう呟きながら立ち上がった。


レン「じゃあまたね!お互い頑張ろ!」


そういって走り去るレンの背中をナギは目で追っていた。

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