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人類未満  作者: r_kobori
20/31

〈20章〉再会

レンは感情を飲み込むよりも先にナギへの心臓マッサージを開始した。

その時、全てのシャッターが開く。


ヴィクターはナギが情報を隠している事を察し、非常事態への準備をしていた。

ルーカスの通信が届く。


ルーカス「シャッターの操作を奪われた。警備員が向かってる!離脱しろ!」


カイ「レン!逃げるぞ!」


カイはレンに駆け寄った。だがレンの耳に、仲間の声は届かなかった。

レンは一心不乱に心臓マッサージを続ける。

それでもナギの亡骸は揺れ動くだけで、ナギの目が開く事はない。


レン「駄目....嫌だよ...」


通路の奥で銃声が鳴った。

跳弾が床を抉り、火花が散る。

カイは歯を噛み締め、独り言の様に呟くレンの体を抱きかかえた。


レン「カイ....離して!まだナギが....」


カイ「状況をよく見ろ!お前までも死ぬ気か!」


カイはあえて強い言葉でレンを律した。

レンはナギの喪失を受け入れ、声にならない叫びを上げた。


カイは即座に近くの部屋に逃げ込んだ。

車を手にしたハルと落ち合う地点までかなりの距離がある。

カイは肩にかけた銃に触れた。


カイ(俺にこれが扱いきれるか....?)


その銃はアキが使っていたものであり、改造され威力と反動が高くなっている。

リュウの救出に向かわした他メンバーの行方も分からない。そんな中、カイは小さく息を吐き、首にかかったサラの遺品を祈るように掴んだ。


カイ(今の俺に出来る最善を...)


魂が抜けたように動こうとしないレンを連れ、部屋から飛び出す。


移動を始めて間も無いうちに警報が鳴り始めた。それに呼応する様に警備員が集まり始める。

カイは銃を構え、進行方向に向かって発砲した。


カイ「...っ!」


その反動に顔をしかめる。弾は狙いは外れたものの、かろうじて警備員に命中し、進行方向を切り裂いた。


2人は足を止めずに走り続けるうちに中庭に到達した。

その瞬間、四方八方から銃口が顔を出す。


カイ(....くそっ!誘導されてたのか...)


カイは必死に周りを見渡し、逃げ道を探すが、何処にもない。

息が荒くなる。

自分の選択は本当に正しかったのか。

自らの選択で仲間を死に追いやってしまったのか。

そんな言葉が頭の中で反芻する。


その時、上から懐かしい声が聞こえた。カイは考えるよりも先に

その声に従い、銃を2階へ投げた。


リュウは窓から飛び出し銃を掴み取り、カーテンを使って体を固定した上で、その場の警備員を撃ち抜いた。


カイはその姿にアキの面影を見た。

リュウはそのまま飛び降り、カイの頭を撫でながら告げた。


リュウ「よくやった。後は任せろ。」


言葉は短い。それでも確かにリュウそのものであった。


カイは考えるよりも先に、その声に身を委ねた。

張り詰めていたものが、音もなくほどけていくのを感じた。

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