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人類未満  作者: r_kobori
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〈十二章〉内側

レン達はシェルターの外周を慎重に回り、巨大な門の前へと辿り着いた。

コンクリートと鋼鉄で組み上げられた外壁は、基地のそれとは比べ物にならないほど分厚く、長い年月を耐え抜いてきたことを物語っている。


門の内側。

監視用と思われる高所の通路に、数人の護衛兵の姿が見えた。彼らは明らかに動揺していた。


――本来、ここに人間がいるはずがない。

ましてや、武装した子供の集団など想定外もいいところだ。


門は開かない。

沈黙だけが続く。


カイはその時間を無言で受け入れていた。

焦りは見せない。ただ、調査書の存在を確かめるように、指先が鞄の留め具に触れている。


カイ(……遅い。だが、想定の範囲内だ)


数人が緊張に耐えきれず、唾を呑む音がやけに大きく響いた。

その瞬間だった。


鈍く、重い金属音。

巨大な門が、ゆっくりと開き始めた。


中から救命着を着た大人達が走り寄ってくる。


「よく頑張ったね」

「もう大丈夫だから」


あまりにも優しい声だった。

それが、逆に不自然に感じられるほどに。


カイは一瞬だけ目を細めたが、調査書を使うことはしなかった。

鞄の奥にしまい込み、リュウの担架を押して中へ入る。


カイ(……リュウも心配だ。今は様子を見るしかないな)


レン達も続いて門をくぐった。



門が完全に閉じる直前。

操作室の一角で、短い通信が交わされていた。


「入れて構わない」

『本当にいいのですか?』

「奴らは“生き残り”だ。……調べる価値がある」


通信は、それだけで切れた。



シェルターに入ってから数日が経った。

リュウは内部の病院で検査を受けていると説明されていたが、状況は不自然だった。


初日を除き、検査の内容も結果も伝えられない。

面会は常に拒否される。


病院の受付で、ついにカイの堪忍袋が切れた。


カイ「少しぐらい様子を見させろ!顔を見るだけでいい!」


カイが珍しく声を荒げる

医師は慌てた様子で肩に手を置く。


医師「あなた方もまだ検査が終わっていません。もう少しお待ちくださ...」


カイ「一体何日待たせる気なんだ。

初日以外、何の検査もしてないだろ」


言葉を濁す医師を見て、カイは確信に近い違和感を覚えた。

次の瞬間、彼は医師の手を振り払い、病院の奥へと歩き出す。


レンとハルが無言で後を追った。


リュウがいるはずの病室の前。

そこには二人の警備員が立っていた。


ハル(……多すぎる)


警備員「止まりなさい。ここから先は立ち入り禁止です」


カイ「理由を言え」


警備員は答えない。

カイとハルは一瞬目を合わせた。

ハルは服に隠していた拳銃でドアの鍵を打ち抜き、カイは警備員の動きを止めた。

レンがその隙にドアを勢いよく開ける。


病室の中には、誰もいなかった。


ベッドは整えられ、医療器具も撤去されている。

まるで、最初から使われていなかったかのように。


レン「……いない」


その時、ハルが声を上げた。

振り返ると警備員が銃を構えている。実弾ではなく、麻酔薬が入った猟銃のような物であった。


カイが咄嗟に近くの椅子を盾にし、

ドアを閉めて固定した。


響き渡るような警報が鳴った

通路の先から足音が近づいてくる。


ハル「...ッチ。やっぱりそういう事か」


カイは即座に判断した。


カイ「撤退する。今すぐだ」


その声に迷いはなかった。


ハル「逃げるってたってどこに?

この病室から抜け出せるかも...」


ハルが言い終わるのを待たずに病室の電気が落ちた。

天井から放送が流れる。ナギの声だ。


ナギ「皆さん無事ですか?!ベランダの壁は災害が起きたときのために

壊れやすくなっています。そこから脱出を!」


ナギの放送が終わり、3人はベランダに飛び出した。


病院の外にバンが複数到着し、

3人はバンに乗りその場を後にした。


ついた場所は古びた倉庫

何かの運送会社があったらしく、

併設している事務所の様な場所に

ネバーリサーチは集まっていた。


レン「ナギ!ほんっとに助かった

ありがとね!」


ナギ「いやいや...他の皆さんが助けていただいたお陰ですよ...」


ナギ達はカイが病院に向かった時に

病院を抜け出しており、バンの回収と病院のシステムのジャックを試みていた。


カイ「一先ず最悪は免れた。バンさえあれば移動は困らない筈だ」


カイが武器を調整しながら言う

ハルは頭を抱えながら状況を整理する。


ハル「一旦何人かは基地に帰るべきだ。全員でリュウを探せばいつかは見つかる...数人なら潜伏しながら情報を集められるはず...」


ハルの言葉に反応する間もなく

倉庫から乾いた金属音が短く響いた。ナギは駆け足でバンへ向かう。

その後をレンが追った。


ナギ「....うそやろ」


レン「え?どうかしたの?」


ナギ「あかん...このバンはもう動かせへん」


遅れてハルやカイが倉庫に入ってくる。バンからは黒い煙が出ていた。


カイ「どうにかして直せないか?」


ナギ「……ここじゃ無理です。

工具も部品も足りません」


沈黙が落ちる。

逃げ切ったはずの道は、

思いもよらない場所で静かに閉ざされた

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