応募葛藤編
求人広告などで比較的、募集が多く、応募もしやすいのがこの「営業職」である。
未経験者OK!・経験者稼げます!・業界知識なくても可!
このような敷居が低い広告の先輩の成功エピソードや高い給与事例を読んで、まるで自分がそうなったかのようにやる気が出て「よし一旗あげてやろう!」と思う学生もフリーターも転職中の人も多いだろう。
新規開拓営業=電話や訪問で断られることが多く、精神的な負担が大きい。
結論そんなに甘い世界ではなく、新規で提案しても断られることが多く、成果を出すまでに時間がかかることも多く、ノルマ達成のプレッシャーを背負い、上司との人間関係の構築の難しさなどが挙げられます。
ここまで比較的に離職率が高いと言われる営業職でも、戦略的なアプローチやメンタルケア、スキルアップによって、自分でも驚くほどの成長を感じ、結果につなげられることもできるのです!
そしてその功績は結果として自信につながり、社内で役職がついて報酬が上がったり、独立して成功したりと様々な将来の選択肢が増えるのです。それがこの「営業」という身に着ければ最強の技術なのです!
2012年、雑誌の求人広告で「即戦力求む!!」というタイトルで学歴不問、未経験者歓迎、年齢不問、やる気をみせてください!という高卒の自分には好都合な条件に応募したのは私だけではないはず。
いわゆる「営業」と言われる求人には新規開拓でテレアポや訪問がメイン、既存客フォローから経験を積んでクレーム対応、ノルマがあるから営業時間外でもみなし残業で頑張って、他にも転勤当然、給与歩合で基本給は変わらないですよ!といった現実を言葉選びで求人を募っている。
例えばコンサルティング営業、ソリューション営業といった外資系を匂わしたり、稼げます!みんな仲いいです!社内環境は抜群!頑張った分だけ給与に反映するシステム!
といった小心者でもやる気さえあれば金持ちになれるのかな!!
なんて夢物語を期待に応募をする人も多いでしょう。
そうです!その夢物語を期待して応募するんです、困窮に喘いでる僕は、、、いや一攫千金を目指す僕は!!
という事で天国?か地獄の入り口にノックした私の名前は大澤和人。
26歳男性、香川県高松市の出身で目的もなく何とか自分を変えたいというよくわからない期待だけで23歳で上京、根拠がない理想や夢だけは強く、話したがりでその気になって、実際にはな~にも行動もしないまま東京で少ない星空を見上げて悲劇のヒロインぶってるタイプ。
上京してからは約2年半は港区赤坂のオフィス内のごみ回収のバイトで生計をたてていた。
バイトは時給1250円で週5。
東京で暮らすには余裕などない生活で食事といえば外食はチェーン店、家ではカップラーメン、たまに贅沢といえば近くのつけ緬屋で具の全部乗せを注文する程度のこと。ギャンブルには全く関心がなかったので不幸中の幸いというところ。
世間知らずで高卒、口下手、彼女なし、夢もなく(せいぜい長生きが目標)、自分のルックスにも自信がなく身長も165㎝と低くルックスのコンプレックスだらけで引っ込み思案なので何度、親と神様と恨んだことか。
要は26歳にして取り柄がない、これと言ったキャリアやスキルなしなので「稼ぎたい!」という動機だけで応募したら、翌日には先方からのメールで返信があり、一次面接までこぎつけた。
「え!いいの?」
驚きと不安を感じながらおそらく26歳という唯一の若さの特権が次のステップに進めたのだろう。という謙遜しながらも嬉しさのあまり冷蔵庫の缶ビールをグビグビと飲み干すくらい動揺は隠せなかった。
そてから4日後の場所は西新宿にある高層ビルの19階。二次面接までこぎつけたら採用間違いなし!と若いころのアルバイト経験から少々優越感に浸りながら指定された時間と場所に着いた。
見た目は綺麗な受付口で社名は「ライトワールド」と大きく表示されていた。緊張しながらも採用番号のプッシュフォンを押す。
プルルル・プルルル2コールなったところで女性の声ででた。
「はい、ライトワールドです。」
高いキーで社名を名乗った女性の声。
「あ、あの~本日11時に面接の予定できました、オオサワと申します。」
少し早口で名乗ってしまった。すでに面接が始まっているのか?くらいの緊張と警戒心すらあった。
「ありがとうございます。今からそちらに伺いますので、少々お待ちください」
受話器を置くと、すぐさまスラリとした髪の長い綺麗な女性が迎えにやってきた。
「オオサワ様ですね?お待ちしておりました、こちらへどうぞ」
対応する受付といい、外観といい随分と上品な会社だな~とイメージを膨らませついていくと広い会議室へと案内された。
そこは長い机がパーテーションごとに区切られていて、既に5,6人が向い合って面接のようなやり取りをしているのが聞こえてきた。
2.3分ほどしてこちらに近づいてくる足音がしてきた。
「どーも、面接を担当する浜中と申します。」
笑顔できたその容姿は、小太りで無精ひげを生やし、色黒なので、同じ哺乳類とはいえゴリラをイメージさせるごつい感じで、少しあっけにとられてしまったというのが第一印象だ。
「あ、大澤ともうします!本日はよろしくお願いします」
立ち上がり深々とおじぎをすると、座るよう勧めてくれた。
浜中さんは事前に用意している履歴書、職務経歴書にその場で目を通し始めた。
オイオイ今読むのかい!読んだからこそ面接に勧めたんとちがうんかい!・・・・・
沈黙が30秒ほど続いた。とても長く感じたが目を通してる眉間にしわを寄せ浜中さんの眼差しは真剣そのものだった。
営業経験なしが引っかかているのか。
学歴は3流でも出ておいた方がよかったか。
自分の欠点をあげればキリがない。
できればもうこのゴリラ、、、いや面接官から早く離れたい!
とネガティブ思考が先行してここから先の面接に対応できるか不安でしょうがなかった。
するといきなり浜中さんが堰を切ったように話し出した。
「はい、分かりました!じゃあ、、まずは質問なんですが、今回の募集は営業職ですが、大澤さんは営業にどのようなイメージをお持ちですか?」
え、、、やばいこれ志望動機を言うの?