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息子を思うと死んでも死に切れん!  作者: 雨蛙/あまかわず
戦う理由

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第25話 力を合わせろ!三匹の猪!

夜が明け、早速任務が始まった。


町を修復する組と森の中を探索する組に分かれるようだ。


モールドたちは探索のほうに割り振られた。


猪たちは町の裏の森からやってきているようで、そこを重点的に探索することになった。


表とは違い、木の一本一本がたくましく、その巨体が空を支えているようだ。


「よし、それじゃあ入る前に作戦の確認だ。俺が前線で敵を倒していく。それでマーリンが魔法で援護してモールドがマーリンを守るって感じでいいよな?」


「ええ、問題ないわ」


「うーん…」


モールドは返事の代わりに唸り声を上げた。


「どうした?」


「なんか、僕だけ仕事が少なくない?」


「そうか?そんなことないと思うけどな。今回のこの訓練は多数の敵を相手することになる。そうなると前線で戦ってる俺は、二人が後ろとか横とかから襲われたときに気づくことすらできなくなるだろ。そこでモールドの出番ってわけだ。お前の守りの硬さでマーリンを守ってやるんだ。マーリンだっていきなり魔法を撃つことなんかできないだろうしな」


「でも…」


「それともなんだ?前に出て戦いたいか?」


「え⁉それは、えっと…」


「あっはっは!そう取り乱すなよ。戦うことが苦手なことくらいわかってる。俺は殴るのが得意でお前は守るのが得意だからこその作戦だ。適材適所ってやつだ。それでいいだろ?」


「そこまで言うならいいけど…」


「よし!そんじゃ、張り切っていくぞ!」


話し合いが終わるとガヴはずんずんと森の中に入っていった。


二人もガヴに続いて駆け足で入っていく。


森の中はかなりゆとりがあるはずなのに、木が太いせいで圧迫感を感じる。


足場も悪そうで慎重に進んでいく。


「白い猪ってどんな奴だと思う?どれくらい強いんだろうな」


「どうなんだろう。あまり強くなければいいけど」


「町の人が依頼を出すほどだ。そういう期待はしない方がいいと思うぞ」


「やっぱりそうだよね。気を引き締めないと!」


モールドがほっぺをペチペチとたたいた。


今回は相当気合が入っているようだ。


いつもは不安がって小さくなっているんだがな。


「それとわかってると思うが、危ないと思ったらすぐにこの帰還石を使うんだぞ。今回はあの村の入り口に帰れるようになってるらしいからな」


「うん。ガヴもマーリンも無理しないようにね」


「ああ、わかってる」


「…マーリン?」


マーリンの返事がなくて気になったモールドは振り返ると、なぜかマーリンは足を止めていた。


「ガヴ!ちょっと待って!」


モールドがマーリンの異変に気付き、ガヴを呼び止める。


「どうした?」


「正面、何か近づいてくる」


そういうと、正面の草が不自然に揺れた。


三人ともとっさに武器を構える。


次の瞬間、草むらから白い毛皮の猪が勢いよく飛び出してきた。


すかさずガヴがハンマーを振り上げ、はじき返した。


「こいつがその猪か。結構でかいな」


さらに草むらの中からまた一匹、もう一匹と出てきた。


合計三匹、モールドたちの前に立ちはだかった。


白い猪はモールドたちほどの大きさがあり、鼻の先まで伸びた大きな牙もついていた。


「出会っちゃった…」


「こいつは思ったより手ごわそうだぞ。みんな!作戦通りに頼むよ!」


陣形を整えたその束の間、一匹の猪がガヴに向かって突進してきた。


ガヴは一瞬後退させられたものの、何とか踏みこたえ、押し合いになった。


その隙にマーリンがガヴが止めている猪の横っ腹に向かって魔力弾を数発放った。


魔力弾は直撃し、猪は苦しそうな鳴き声を上げてひるんだ。


おかげで押し合いはガヴが勝ち、猪を突き離すとハンマーを大きく振りかぶり、後ろの木にたたきつけた。


そんなことをしているうちに、一匹が横に回り込んでマーリンに向かって突進してきた。


すかさずマーリンは素早く杖を向け、さらに魔力弾を撃ち出した。


顔面に食らった猪は痛そうにしながら動きを止めた。


その反対側にもう一匹の猪。


じっとマーリンを狙っている。


マーリンは目の前の猪に集中していて気づいていないようだ。


マーリンの背後を狙って猪が走り出した。


「させない!」


ここぞとばかりにモールドが間に入り、猪の攻撃を受け止めた。


キリキリと音を立て、互いに押し合う。


モールドの足が一歩、また一歩と下がっている。


力勝負だとやはり不利か。


できるかわからんが俺も加勢しよう。


モールドの剣に合わせるように剣を振る。


すると猪は取り乱し、後ろに下がった。


傷とかはついてないが、何かしら感じたんだろう。


「うぉりゃー!」


その間にガヴが猪を地面に叩きつけていた。


猪はそのまま地面に倒れ、動かなくなっていた。


モールドと相対する猪に向かってハンマーを横に振った。


胴体に直撃した猪は森の彼方へと飛ばされていった。


「これで二匹。そっちはどうだ?」


「もう終わったわ」


マーリンが相手していた猪のほうも白目をむいたまま動かなかった。


「完璧じゃないか!俺ら、なかなかいいチームなんじゃないか?」


ガヴは満面の笑みを浮かべた。


そんなガヴとは裏腹に、モールドは難しい顔をしていた。


「どうしたモールド?またネガティブなこと考えてるのか?お前も十分に戦えてたろ。あの猪を受け止めるどころか、押し返したりしてさ!」


「それなんだけど、なんか僕の力じゃないような気がして…」


おっと、感づかれたか?


「そんなこと言うなよ!実際にお前はやってのけたんだ。自信を持てよ!」


ガヴはモールドの背中をバシッとたたいた。


「い、痛いよ!ガヴは力が強いんだから、手加減してよ!」


「まあまあ。そんじゃ、気を取り直して進んでいくぞ!」


三人はさらに森の奥へと向かっていった。


さすがにあれだけで気づかれることはないか。


胸をなでおろし、俺も三人の後を追う。

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