表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

第六話:出会いの日

1話の長さは、大体1000~4000文字程度です。

この話の文字数:1926

「シュヴァルツさんが手を振ってくれた!」

「あの女性の方…かなりじーっとシエル様の事を見つめていたように見えましたけど。何か勘付かれたんじゃないでしょうか!?」

「そりゃあ、実力のある人には何かしら気づかれるよ。あの二人は人間の中でもかなり上澄みだし。」

上澄みどころか、勇者のいない今、人間のほぼ頂点の存在と言っても過言ではないと思う。二人とも現在レベル75、更に技術も突出している。ワタシの憧れの存在だから、公開されている情報は殆ど頭に入っている。

二人で戦えば七色の第五席、「虫」にも勝てるだろう。それより上は少し怪しいと思うけど。

「シュヴァルツさんがさっき、キセキの方をチラチラ見てたし、違和感には気づかれてるかもね。」

「え…私はどうすればいいんでしょうか?」

「別に何もしなくていいよ。だってワタシ達、何も悪い事はしてないよ。コソコソする必要もないよね?」

「…確かに?」




彼らが去った後、ギルド内ではちょっとした揉め事が起きていた。

いわゆる「追放イベント」だ。

実力の低い者がパーティから除名される、よくある出来事。その時に揉め事が起こる事も、そう珍しくないという。

ただ、今回は追放する側のパーティのリーダーが厄介そうな男で…。追放されると思われる少年に暴行をしていた。周囲に罵声が響く。何を言っているかはもはや聞き取れない。

ギルド職員の制止で、ようやく暴行は止まった。少年は額から血を流し、立ち上がる事すら難しそうだ。

リーダーの男は怒鳴りながら出て行ってしまった。メンバーと思われる男女もついていく。

倒れている少年は見るも無残にボロボロの状態だった。

「キセキ、一つお願いしていい?」

「言われなくても分かってます!」

キセキは少年の元に駆け寄る。そして魔法を詠唱する。

「ローヒール!」

キセキの魔法によって、額の傷は塞がり、少年は辛うじて意識のある状態まで回復した。

その間にワタシはギルド職員に話を付けに行く。

「あの少年、ワタシ達に任せてくれませんか?」

「お願いできますか?私達の中には回復魔法の使い手が居なくて、彼の治療が出来ないんです。」

決定だ。あの少年はワタシ達が引き取る事となった。

何故そこまでするか?

ワタシの、いや、魔王のスキルの一つ「集光魔眼」は、対象者の伸びしろが光として目に映る。魔王はこれでキセキを含む七色のうち三人を仲間に率いれている。

この少年からも眩い光が放たれていた。これを逃す手はない。七色を回収するのに、戦力を蓄えておかないといけないし。




適当な宿をとって、少年を運び込む。ワタシじゃ少年を持ち上げるには体格とパワーが不足していたので、キセキにおぶって来てもらった。

「あの…あ…り…」

「おっとと、無理して喋らなくていいんですよ!」

この誰も居ない部屋の中なら、アレを使わせても大丈夫だろう。

「キセキ、「フルヒール」、お願いできる?」

「えっ?いいんですか?」

「誰も見てないから大丈夫だよ。それに、「ローヒール」だけだと彼は回復しきらないよ。」

「…今度あの男達をぶっ飛ばしに行きましょうね。」

キセキは力を開放する為、「正体隠蔽」を解除し、最上級回復魔法を使用する。

「フルヒール!」

ボロボロだった少年の身体から、みるみるうちに傷が消えていく。

「流石。キセキの回復魔法は凄いよ。」

「とーうぜんです!回復魔法に関しては、七色でも私の右に出る者は居ないですから!」

だが、少年はまだ衰弱しているように見える。外傷でないとすれば…?

「病気…いや、単純にお腹が空いているのかな?」

ワタシは鞄から干し肉を2つほど出して少年に与えた。

「あんまりいいものじゃないけど、これで…。」

少年はそれをゆっくりと口へ運ぶ。あれだけの傷を負いながら涙を流さなかった彼だが、その目には涙が浮かんでいる。

「…やっぱり私、あいつらの顔を一発ぶん殴ってやらないと気が済みません!彼をこんなにしたあの人間達を…!」

「落ち着いてよキセキ。あいつらは多分、アレでもそこそこのやり手だよ。周りが誰も止めなかった、見て見ぬフリをしていたのは誰も敵わないから。」

「じゃあ、一体どうすれば…!」


ワタシはキセキにそっと耳打ちする。


「力を蓄える。機を待つ。やるなら徹底的にやろうよ。」


「…ワタシもね、仲間にこんな事をするあいつらは許せないんだよね。」

「ワタシ」が許せないのもあるが、「魔王」も許していない。魔王はどんな目的よりも第一に、仲間の事を考えていた。その魂が、激しく怒り狂っている。

「…はい。焦りは禁物ですね。」




視点:キセキ


私は右足に触れる。魔王様が補ってくれた右足に。

あれから何年だろうか。だいたい150年?

私は久しぶりに思い出した、過去の記憶に浸る。そう、私と魔王様が出会ったあの時…。


6/50話です。

色々なファンタジーお馴染みの展開に手を出していきたい、と思ってこのストーリーを書いています。今回は追放モノです。普通の追放モノとは視点が違うので、違和感満載だと思います。


ところで、どうでもいい話ですが。第二話のタイトル、「魔王を宿す女」じゃなくて「魔王を宿す少女」とかの方がいいと思いませんか?女って言い方があんまりよくないと思うんですよね。

今後の話でも、こんな風に若干違和感のあるタイトルを付ける事があると思います。ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ