表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

第五話:怪しむ者

1話の長さは、大体1000~4000文字程度です。

この話の文字数:2021

「ちょっと表出ろ。勝負だ。」

「そっちは二人、こっちも二人。公平だろ?」

無視してもどうにもならなさそうなので、ワタシは黙ってついていく。

「シエル様、私に任せて下さい…」

「いや、キセキは下がってていいよ。ワタシがやった方が早い。」

「…じゃあ、私があの赤い服の方を受け持ちます。シエル様は青い方を。」

「分かった。すぐ片付けて援護するから。」

「は、はい…。」

キセキは不満そうだったが、ワタシのお気に入りを傷つけさせるわけにはいかないから、我慢してもらおう。


「ここなら周りに迷惑もかからないだろう。ほら、かかってこいよ。」

意外にも周囲の事を考えている良識的な男達。少し見直した。

「先手はそちらでいいですよ。ワタシは後手の方が得意なので。」

「…!その顔面が歪むことになっても知らねぇぞ!」

男達はなんと、二人がかりでワタシを潰しに来た。

「シエル様!」

ここはあのスキルの使いどころだろう。


「絶対視認」


男達の攻撃の軌道が可視化される。あとは、その道筋に入らないように回避するだけ。

一人目の攻撃は躱した。だが二人目の攻撃の軌道に入ってしまった。

じゃあ次はコレだ。


「会心反撃」


つまり、カウンターだ。しかもスキル使用により、カウンターが成功すると必ず致命的な一撃になる。

「ごわっ!?」

青服、ダウン。残るは赤服だけだ。赤服は最初の一撃に比重をかけすぎて、バランスを崩している。

もうスキルを使うまでもない。ワタシの得意魔法で勝負を決める。

「ライトニングアロー!」

光の矢が赤服の周囲に突き刺さる。今回は直接相手に刺さず、周囲に突き立てて動きを封じるようにした。

降参してください、そう言おうとした瞬間。

「シエル様を、傷つけるなぁぁっ!」

赤服の男に、キセキが右足で踵落としをお見舞いしてノックダウン。

「あのー…ワタシは傷ついてないから大丈夫だよ。」

むしろ赤服が死んでいないかが心配だったが、ギリギリ生きているようで安心した。


男達はその後ちゃんと回復したらしい。頑丈でよかった。

そしてその後しばらくは、見ていた周囲の人間達の視線が痛かった。

しかし、その視線もすぐに消えた。何故なら他に見るものが出てきたからである。


「キセキ、あの人達が「白と黒」だよ。」

「…あれは私でも分かります、相当な強者(つわもの)ですね。」

「風格は勇者にも引けを取らないね。レベルは圧倒的に勇者の方が高かったと思うけど。」

「私はおろか、「虫」でも彼らには敵わないでしょうか。」

「虫」は七色の一人、第五席の称号だ。

「10年前のままだったら勝てないかな。二人かかりでなら。でも、あの子も強くなってるでしょ?」

「ごめんなさい、私、「日」と「木」の二人以外は行方を知らないんです。」

「あ、そうなんだ。」

「ところで、そんな手練れの方達がどうしてこの町に来たんでしょう?」

「移動途中の中継地点としてこの町を選んだらしいよ。」

勿論ワタシはそれをもとから知っていたわけではなく、「聴覚強化」スキルで盗み聞きした情報だ。

スキルの濫用は好きではないが、今日のはどれも必要なスキル使用なので仕方がない。最も、さっきの男達にはスキル無しでも(キセキが居るから)勝てていたと思うけど。

「ここは東部地域と西部地域の中間に位置する町の中で一番栄えていて、平和だから。東部と西部を行き来する時は大体皆ここを通るみたい。」

「ここ、北は砂漠、南は森ですもんね。だからここを選ぶ人が多いと。」




視点:シュヴァルツ


「どうした?」

俺は相棒の様子がおかしい事に気づき、声をかけた。

俺は「漆黒の魔剣士」シュヴァルツだ。「純白の聖女」ヴァイスと共にあらゆる苦境を乗り越えてきた。故に、相棒の事なら少しの変化でも気づけるようになった。

ヴァイスはどこか一点を見つめているようだった。

「おーい?」

「あ、ごめんなさい。」

「どうしたんだよ、ボーっとして。らしくないぞ?」

「ちょっと気になる人物が居まして。」

「そうか?怪しい奴は居ないと思ったけどな。」

「怪しいって意味じゃないんですけど、ほら…あそこの子ですよ。金髪の女性の隣の。」

俺はそちらの方向を見る。言うほど変わった所がある人物には見えない。

その少女は俺達のことを興味津々に見ている。ただの冒険者に憧れる子供…いや、見たところレベル20くらいはありそうだ。

「年齢の割に多少レベルが高そうだが、そのくらいじゃないか?」

「レベルは私には分かりませんが…その程度とは思えない何かを感じるんですよね…。」

「ヴァイスがそう言うならそうなのかもな。ちなみにそれで言うと、俺は金髪の女の方が気になるな。俺の目で見てもレベルがよく分からん。俺達クラスの力を隠し持ってるかもな。」

一応、少女と目が合ったので、手を振ってみた。

手を振り返す様子を見ていると、普通の子供にしか見えない。

「普通の子供…っぽいよな。どっかの貴族の子か?ナリからして。」

「一応、帰りにもこの町を通りますから、あの二人の事は覚えておいた方がいいと思います。」

「そうだな。」

5/50話です。

サラッと、七色の称号がいくつか出てきました。

ネタバレしておくと、七色の称号はそれぞれ

第一席:「車」

第二席:「女」

第三席:「日」

第四席:「木」

第五席:「虫」

第六席:「口」

第七席:「七」

となっています。序列は強さ順(レベル順)ですが、魔王的には序列はどうでもいいものだったようです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ