表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

第三話:正体隠蔽

1話の長さは、大体1000~4000文字程度です。

この話の文字数:1922

10歳の誕生日を迎えたワタシ。

誕生パーティが終わり、家族で今後について話し合う。

「シエル、君はやっぱり目指すのかい?」

「うん、ワタシの夢だから。」

「俺は依然、反対だぞ。だって、危険じゃないか。」

「でも、兄様を守ってあげることもできるんだよ。」

「私はいいと思いますよ、「冒険者」も。」

ワタシが冒険者を目指すのに、父は中立、母は賛成、兄は反対の立場らしい。

「兄様が何と言おうと、これはワタシの目標だから。危険なことくらいわかってる。」

そして、ワタシの本当の夢は冒険者ではなく、その先だ。優秀な冒険者には称号が与えられる。「漆黒の魔剣士」だとか「純白の聖女」だとか。

ワタシも活躍してそんな称号を得たい!っていう幼い頃からの夢。

「兄様にだって、目標があるでしょ?王家直属の研究者になりたいんでしょ?ワタシは冒険者になりたいの。同じでしょ?だから、邪魔しないでよ。」

「うっ…。分かったよ。」

兄様は引き下がってくれた。自分の事を引き合いに出されたから、反論出来なくなったね。

「ワタシは明日から町に出ていく。まず第一歩を踏み出すために。」

「寂しくなるなぁ。」

「私に似たんでしょうか、まだ10歳とは思えない逞しさ。これならどこでもやっていけそうですね。」

母様は冒険者として「そよ風の癒術師」の称号を持っている。ワタシがこの道を歩もうとした切っ掛けも母様だ。


さて。

当面の食糧、財布、着替えなどの荷物を持ち、ワタシは家を発つ。勿論、キセキも忘れずに。

キセキの人型の姿は、結局自分以外には見せていない。彼女の正体がバレたら色々と大変なことになるから。

変身前の小鳥の姿では、ワタシの「魔力造形」では欠けた足を補う事は出来なかったから、隻脚のままだ。これで遥か遠くからワタシを探しに来たのだから、凄いと思う。


町は歩いて20分程度の場所に位置している。1日目の今日は、まず冒険者組合…つまりギルドに登録をしに行こうと思う。

「シエル様~?」

人型に変化(へんげ)したキセキが喋りかけてくる。特に理由が無ければ人型で居たいらしい(そりゃ、五体満足の方がいいだろう)。

「シエル様って、レベルいくつなんですか?」

「一昨年は17だったよ。その後は分からない。」

「はぇ~、それって高い方?ですよね?」

「同年代なら結構いい数値だったよ。伊達に冒険者目指してないから、それなりに鍛錬はしてたし。」

魔王の頃は文字通り桁が違ったけど…。それに、人間はレベルに拘り過ぎだ。レベルなんてものは身体能力を数値化しただけに過ぎない。技術やスキルを数値に反映していないから、レベルが3割、いや6割低い相手に負ける事だってザラにある。

あの時も、レベルでは勇者の方がかなり上だったが、何とか相打ちに出来たし。

「ちなみに私はレベル67です!あの頃から20も上がったんですよ!」

「…すごいね。」

「かなり頑張りましたからね!これならしばらくは私がシエル様を護る事が出来ます!」

レベルに拘るのは良くない、とは思っているが、レベルが低くていいことなんて何一つない。技量が相手と同じだとして、相手とレベルが1割違うと、それだけで勝率は半減するだろう。

今のワタシでは、キセキに勝てたら奇跡的と言ったところだろう。

「強くなったね。」

「え?」

「もうあの頃の未熟で貧弱な、絶望に満ちた小鳥ではないなぁって。」

「当然です!絶望なんてものは、魔王様に拾ってもらった時に捨てましたので。」

「いいねぇ。流石、魔王のお気に入りだ。」

「そうです!私は魔王様の、シエル様のお気に入りなのです!」


暫く進むと、町が見えてきた。

「そろそろ、小鳥の姿に戻った方がいいよ。」

「…イヤです!」

「え…。」

「魔王様から賜ったこの足をずっと使って居たいのです!」

「でも、その姿を見られたら色々と面倒じゃないの…?」

「大丈夫です!この10年で「正体隠蔽」のスキルを獲得したので!これで…」

キセキはくるりと一回転すると、その身体からは翼が消え、魔王作の右足も漆黒から肌と同じ色へ。そして毛色も黄色がかなり薄まり金髪に。

「どうでしょうか!これなら周りからも人間に見えますよね?」

「なるほど、それなら大丈夫かも。ワタシの付き添いというていで行けば…。」

実家に帰る事があったら一発でバレるけどね。まぁ、その時はその時で。

「でも、レベル測定でレベル67って出たらちょっと怪しまれるんじゃない?」

「その点も心配無用です。この姿の時はレベル半減です。少し強い人間程度ですよ!本来ならデメリットですが、今は都合がいいでしょう?」

「そうだね…じゃあ大丈夫かな。」

多少の心配はあったが、キセキにストレスをかけるよりはよっぽどマシだと判断した。

ワタシ達はそうして、町へと歩みを進めるのであった。


3/50話です。

家族の名前…考えるの面倒くさい…。必要になるまで、彼らには名無しでいてもらいます。

というか、兄様はともかく、両親を名前で呼ばせる機会が無いんです。どうしたら名前を自然に出せるか…今後の課題です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ