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第十五話:下水の中

1話の長さは、大体1000~4000文字程度です。

この話の文字数:1791

「く…ここ流石に臭くないですか?シエル様!」

「…ごめん。ワタシはスキル「異常適応」があるから、あまり感じないんだ。」

「ず、ズルい!ズルいです!」

「…無理しないでね。ダメだったら帰っていいよ。ワタシは大丈夫。」

「で、でも…シエル様を…。」

「ワタシは大丈夫だって。ほら、こんな所さっさと出て、新鮮な空気を吸って来て。」

「…はい。」

キセキは人間じゃないから分からないけど、多分人間より感覚が鋭いんだと思う。だからこの臭いがより苦痛となる。

あの状態のままだと危険だと思ったので、無理にでも離脱させた。そしてワタシは下水道の奥に進む。


「居た。」

ワタシが発見したのは「ヘドロアメーバ」という魔物。汚泥の中から発生し、強烈な臭いと汚水を出す厄介な魔物だ。

でも、弱点が日属性だったのが運の尽きだね。

「ライトニングアロー。」

一本の光の矢は、的確にヘドロアメーバの核を貫く。

…即死だ。周囲の汚泥が形を失い、崩れ始める。

「プリフィケーション。」

降り注ぐ汚泥を「浄化」していく。借りてきた清掃用具は使わない。


元凶を討伐したその後も、ワタシは下水道を片っ端から浄化して行った。

……。

あらかた浄化し終えて、地上に出た時には、日が沈みかけていた。

はぁ、一回帰るか。身体に臭いもついてしまっていそうだし。臭いも浄化出来ない事は無いけど、そろそろ魔力切れになりそうだ。ここは気持ちよく水浴びを…。


部屋の扉を開けると、驚いた顔のエクラが、目を丸くしてこちらを見ている。

「ん?どうしたの?」

「シエルさん…無事だったんですね!?」

「…どういうこと?」

「シエルさん、二日も帰ってこなかったからみんな心配してたんですよ!」

「…マジ?」

「し、シエル様~!!」

キセキが飛びついてくる。危うくバランスを崩しかける。

「我…じゃなくて、わたくしは心配していなかったのですわ!契約期間が終了していない以上、シエル様は生きてらっしゃられる事は分かっていましたから。」

「シエル様…三日間もあの下水道の中にいらっしゃったのですか…?」

「…もう二日も過ぎてたんだね…。」

私のスキル「無我夢中」の効果だ。集中力と作業効率を跳ね上げる代わりに、時間感覚が薄れる、しかも発動をコントロールできないという変わったスキルだ。まぁ、結果的に下水清掃は完遂出来たので良かったけど…。

「とりあえず一旦、身体を洗って来てもいい?」

「是非そうした方がいいと思う…!ごめん、僕は鼻が利くから…。」

「やっぱり臭うよね…」

「う…わたくしでも食欲が失せそうですわね。」

「わぁっ、そんなに?すぐに洗い流してくる!」




「ふぅ、これで大丈夫かな…」

それにしても、あのアメーバは大量のエネルギーを持て余していたようだ。あれから身体が軽くなった気がする。

…いや、ただ2日以上何も食べていないから本当に軽くなっただけかも?

あ…気づいたら急にフラフラしてきた。病は気から…。




視点:モネ


嗚呼、今日もエミルスが可愛い。

保護者の立場で手を出したりは絶対にしないが…七色第二席のあの「女」じゃああるまいし。

でも可愛い。私が「師匠」であの子が「弟子」という関係性だが、その実、私にとってあの子は我が子のようなものである。

エミルスは、私が縄張りの周辺で拾ったスライムだ。いや、だったというのが正しい。

この場所では珍しいスライム、その流線形ボディに惹かれ、保護して食糧を与えていたら、「ダークスライム」に進化したのだ。

その後更に手塩にかけて育てていたら、「ルナスライム」に進化。人型に近い姿になって、会話までできるようになった。

私を何度も進化させた魔王様も、こんな気持ちだったのだろうか。嗚呼、尊い。


おっと、来客だ。また何か私の「巣」に獲物が。

「姉貴!人間だぞ!」

「あら、人間…?こんな深い所に?」

私の縄張りはダンジョンの50階層の中の38~42階層に位置している。人間がこの深い階層まで来るのは珍しい。普通はせいぜい20階層止まりだ。

ここより下に用があるのか、はたまた迷い込んだだけなのか。

いずれにせよ、人間は喰っても美味しくないので、逃がしてしまおう。殺す?いや、私は無駄な殺生はしないタイプなのだ。魔王様も、不要な殺しはしない方だったし、人間一人くらい逃がしたって怒りゃしないだろう。

でも…何故こんな所まで来たのかは訊いておいてもいいかもしれない。

「エミルス、ちょっとそっちへ行くから待ってて…。」

15/50話です。


※以下長文注意


私が好きなYouTubeチャンネルの人が言ってた言葉で、「使う側より作る側の方が強い」というものがあります。今それを実感しています。

だって…自分の考えたギミックを好きなだけ、ふんだんに混ぜ込めるんですよ。こんな楽しい事がありますでしょうか。物語が書けるくらい日本語理解力が高くて良かったと、本当に思います。

皆さんも、一度やってみてはいかがでしょうか。好きな題材、好きな展開、好きな世界観、全て思いのままです。まぁ、ここを見ている方は既にやっている人も多いかもしれませんが。

私はこの作品は、とあるギミックを入れる為に書き始めたのですが、それをするために仲間が7人になり、そこから更に色々なギミックを足していった結果、ギミックまみれの謎作品になってしまっています。でも今まで書いた物の中では一番マシです。なんてったって今回は完成までの話数を決めてあるのですから。これをしなかった今までの4作品(PCのフォルダの中で眠っている)は全て途中で世界が途切れています(かっこよく言ってるけどただ飽きて書き進められなくなっただけ)。

2番目に書き始めた作品は、割と気に入っているので、この作品が完成を迎えたら続きを書こうかなぁ、とか思っています。どんな作品かと言うと、死期を悟った老人が、異世界転生して「魔王の子」である不定形生命体として二度目の人生を歩む…ってやつなんですが。タイトルは「タイトル未定」(収まりのいいタイトルが思いつかず、保留状態)。10万文字弱、55話まで書いた所で止まっています。ただ設定とか、どんな展開にしようとしていたかなど、ほぼ忘れてしまっているので、一回10万文字見返す作業が必要で、その時間を取るのが大変で。そんな時間があったら、自分の作品じゃなくて他の人の作品を読みたいですよね。自分のは独学(というか学んだ覚えすらない)、趣味で書いてるものなので、プロの作品を読んだ方が絶対に楽しいです。


おっと、長々と語り過ぎました。下手したら本編より長くなっちゃいますね、これ。


現在(2025/6/7)、25話執筆中ですが、大好きなゲーム(デ〇タルーン)の新章が出て、長時間プレイしたので、更新が遅れたり、その影響を受けてストーリー展開が歪む可能性があります。歪まないように頑張ります。単純な作る者より、作る者に影響を及ぼせる物を作る者の方が圧倒的に強いですねこれ。自分もそうなれたらいいなという淡い夢。その為にもまずはこれを完成させますかぁ。

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