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25.思い違い ②

修司は容子宅への帰宅途中にある商業施設の駐車場へ車を止めた。営業時間は過ぎていて閑散としている。

ただ、この界隈では名物となっているイルミネーションがまだ点灯していた。


車内には花束に入っていたフリージアの甘い香りが漂っている。


「確認したいことがあるんだけど、いいかな」

「なんでしょうか」

「仕事を辞めて、仙台にも来ずに、これからどうするの? あいつはまだしつこく来そうだし」

「······なるべく早く仕事を見つけて遠方で働きます。実家から遠く離れた所で、私のことを誰も知らないところで暮らそうと思います」

「それは仙台じゃだめなのかな?」

「······」

容子は答えられない。


「まさかとは思うけど、俺に迷惑がかるからとか、負担になるのが嫌だとか思ってないよね?」


容子はあまりに図星過ぎて声も出せない。


その反応を見て、修司は盛大な溜め息をついた。


「じゃあ聞くけど、俺以外の人間にならば、いくら迷惑や負担になってもいいの?」


修司は続けた。


「俺に頼るよりも、他の人間に迷惑かけて頼る方が、君はその方がいいということなのかな?」

「そ、それは······」

「新しい職場や新しい所で誰とも関わらないなんて無理だ。結局俺だろうが、他の人だろうと誰かしら負担や迷惑になること自体は、同じことじゃないか?」


容子はそのことをまったく考えてもみなかった。

これ以上は修司に申し訳ないということで頭が一杯で気がつけなかったのだ。


(そうだ、本当にそういうことなんだ)


「俺が今言ったことって、どこか間違っているかな」

「······いいえ、ごめんなさい。まったくその事に気がつかなかったというか······完全にすっぽり思考から抜けていました」


修司は、容子にようやくわかってもらえたという安堵の溜め息を漏らした。


「君は真面目で物凄くがんばり屋なのに、時々肝心なところが抜けていることがあるよね」

「······自分でもそう思います」

「責めてはいないよ」


だから目が離せないんだよなと、修司はひとりごちた。


「家政婦じゃなくて、俺の嫁になってくれないかな」

「······嫁?」

容子は目をパチパチさせた。

「俺と結婚してくれないか」

「え···」

修司にまじまじと見つめられて容子は戸惑った。

その視線から逃れようと目を伏せようとすると、それはダメと言われて修司の両手で顔を上向きに固定されてしまった。


「そんなに悩むことなのか?」

「まだ一緒には行けません」

「どうして?」


容子は修司が全く想像してもいないことを口にした。


「呪いのカードの件が解決したら、後から行きます」

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