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決着

方舟ドラゴンの竜巻乱発という脅威が無効化された事をきっかけにして、真円の砂時計のメンバーが巻き返しに掛かる。


マリス、アーニス、ガクベルトを背に乗せたアイシスとサンドラが距離を一気に詰める。

例によってマリスとアーニスが方舟ドラゴンに飛び移り、それぞれレイピアとスレッジハンマーを振るいながら駆け出す。

ガクベルトは的確な弓矢を射出して援護、アイシスとサンドラは渾身の力で龍爪を突き立てる。

 

やってる事こそこれまでと同じながら、今度こそ膠着状態を打開し決着を着けるべく、集中力を高め力を振り絞る。

それでも結果は変わらず方舟ドラゴンにダメージを与えていても決定打には程遠い。

ギルバードのアンチ魔法によって竜巻の脅威が無効化されたが、現実は決め手に欠いている状態に戻っただけ。

違うのはいよいよ龍化の限界時間が迫っていて、更なる焦りを呼ぶ状況に追い込まれている事だった。


<奥の手>


「クライド、そろそろじゃぞ。準備はええか」

カロットワーフは龍化する前のアイシスから預かった伝言を思い出していた。

ーーー

「カロ爺、クライドと合流したら伝えて欲しいんやけど……。龍化した後の戦いで、もし決め手が無く膠着状態になってもうたらクライドの奴に放水砲を方舟ドラゴンに向かって撃つよう言って欲しいんや。デスナイトにやったみたいにな」

「それは構わんが……。じゃが、アイシス。分かっとるじゃろうが聖水はアンデッドにしか効果ないんじゃぞ」

「時間が無いんで細かい説明はせーへんけど、とにかくクライドへの伝言を頼んだで」

ーーー

「よし、OKだ。合図をくれたら、いつでもぶっ放すぜ。」

クライドはそういってカロットワーフの合図を待つ。

発射タイミングについては「膠着状態になったら」とだけ言われているだけで具体的な指示はない。おそらく打開策の奥の手的な事なのだろうとは推察は出来るが、それ以上は分からない。


「今じゃ、撃てっ!」

カロットワーフの合図でクライドが最大出力で水砲を発射した。

「射角、水勢とも問題なし。見事じゃ、クライド!」

「当然だぜっ!」

水の槍弾が砲身から勢いよく飛び出し、方舟ドラゴンに向かっていく。

(あとはアイシス次第じゃ。任せたぞ……)


奇襲(ゆえ)に方舟ドラゴンに気取られないよう反応はしないが、アイシスは水の槍弾が飛んできている事を把握していた。

(ベストタイミングや、クライド、カロ爺。碌な説明も合図も出来てないのに良くやってくれたで)

「ラピスラズリに祈りを捧げ 龍騎族の権能を今発現させる 凍てつく大気と結びつき、空間を真っ白に染め上げろーーアイスブレス ブロー」


アイシスが方舟ドラゴンに向かってアイスブレスを吐く。ただ、狙いはクライドによって放たれた水の槍だ。

水の槍が方舟ドラゴンに当たる直前、アイスブレスによって氷の槍と化す。

硬く切っ先鋭い氷の槍が方舟ドラゴンに突き刺さる、だが僅か数センチ刺さっただけで貫けない。

「やっぱり駄目なのか」では無い。真円の砂時計のメンバーが敵を貫けない氷の槍に感じたのは渇望していた光輝だ。


龍化の限界が近い。これが最後のチャンスなのだと皆が決意を固めて一斉に動き出す。

サンドラの背からアーニスが氷の槍に向かってジャンプする。空中で持っていたスレッジハンマーを振りかぶる。

「喰らえニャー 」

氷の槍の頭を思い切り叩く。


「もう1発ニャー」

再度ジャンプして更に氷の槍を叩き続ける。

方舟ドラゴンが爪でアーニスを攻撃しようとするがマリスが間に割って入ってレイピアで受ける。

サンドラは付近を飛び続けてアーニスとマリスの不安定な足場をサポートしている。


アイシスはレッジハンマーの衝撃で氷の槍が崩れないようにもう1度アイスブレスを吐いて強化した。

ガクベルトはアイシスの背から弓矢で攻撃する。

竜巻の発生は船上のギルバードが完璧にカットし続けている。

アーニスをサポートすべく、誰かに指示されるまでもなく各々が役割を分担してフォーメーションを形成している。

 

「これでどうニャー」

アーニスがスレッジハンマーを振り下ろす度に、最初は数センチしか刺さっていなかった氷の槍がどんどん深くなり、方舟ドラゴンを貫いていく。

ハンマーが合計5度ほど上下した時、それまで宙に浮いて落ちる事の無かったドラゴンが失速してついに落下を始める。


攻撃を中断し、マリスがアイシスの背に、アーニスがサンドラの背に戻ると地上に降りていく。

そして地上に着くと同時にサンドラの龍化が解け、少しの時間差でアイシスの龍化も解けた。

龍化が解けたサンドラとアイシスは地面に寝転がる。

本人たちは元気を装っているがもはや戦力にならない程に疲労困憊状態だ。

地に堕ちた方舟ドラゴンはトドメを刺すまでもなく息絶えた。


死闘の決着した瞬間だった。


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