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第53話 宣戦布告

「プロスクリ王国が宣戦布告してきた。おそらくこの国との間で戦争が起きることでしょう」


 真剣な顔でダンバルが言った。周囲にはギルド所属の冒険者が多数集まっている。ブレブがプロスクリ王国と繋がっていることが発覚してから一ヶ月過ぎた後のことだった。


「知っての通り冒険者ギルド所属の冒険者は中立組織です。戦争への参加を強制することは出来ません。とはいえ戦火が広がれば当然被害は出ます。そこでギルドとしては戦争に参加せずとも避難民の誘導や護衛に尽力していく所存です。勿論あくまで個人の意志を尊重しますので傭兵として戦争に参加するというのであれば止めるつもりはありません。また今のうちに他国へ移動するのも手でしょう」


 ダンバルの言葉が終わると冒険者の話し合いが始まった。僕もフェレスと共に話に参加させてもらってるところだ。


「あたしも戦争に参加しようと思うにゃ」


 最初に言い出したのはフェレスだった。自分としては意外だなと思った。僕たちがこの王国に来てからまだそこまで経っていないからだ。別の国に逃げようと言われても驚かなかったと思う。


「この国に残って協力したいとういこと?」

「そうにゃ。あたしはこの国の雰囲気が好きにゃ。それなら自分の居場所は自分で守りたいにゃん」


 自分の居場所、か――


「マーク、フェレス。ちょっといいかな?」


 話していた僕たちにダンバルから声が掛かった。どうやら個人的に話があるみたいだ。僕たちはそのままダンバルについていき部屋に通された。


「さっきも話した通り戦争になると思うのだけど、そこで国から君たちに要請があってね。特にマーク、君に是非協力して欲しいと言われてるんだ」

「僕にですか?」


 正直驚いた。僕はまだこの国に来て間もない。それなのにわざわざ指名されるなんて。


「でもどうして僕が?」

「それはあの魔族との戦いに関係しているんだ。君たちが二人で魔族を撃退したことは国の知るところでもあるからね。だけどそれとは別にマークが召喚師であることも関係しているんだ」


 召喚師であることか。確かにこの国では召喚師が他にいないから最初は珍しく思われていたっけ。


「マークの召喚師としての力を役立てて欲しいということかにゃ?」

「それもあると思う。何より重要なのは、今回の戦ではプロスクリ王国も召喚師を引き連れてやっってくると予想されている。そこでマークの召喚師としての知識が役立つと考えているようなんです」


 ダンバルの発言に僕の心はざわついた。プロスクリ王国の召喚師、それは僕にとって忘れられない相手でもあるからだ。


「どうだろうか? 勿論さっきも話した通り、冒険者は中立。断ると言うならそれを止めるつもりもないよ」


 選択を迫られる。あいつらの顔なんて見たくもないけど、僕の命を奪おうとしたあいつらとの決着をつけるいい機会でもあるのかもしれない。


「――わかりました。その話を引き受けたいと思います」

「にゃっ~! マーク大丈夫なのかにゃ?」


 フェレスが心配そうな顔でこちらを見てきた。それに笑顔で答える僕。


「うん、大丈夫。フェレスが心配する気持ちもわかるけど、ここで逃げたら僕は一生呪縛から逃れられないと思う。だから――ここで因縁を断ち切って見せる」


 そう。それが僕の気持ちだった。それにフェレスと一緒で僕もこの国が好きだった。それなのにまたあんな連中に好き勝手されるなんてゴメンだ。


「なるほど。貴方にも譲れない物があるのですね。それでは国の方に返事しておきます。近い内に呼ばれると思いますがその時は私も同行しますので――」


 そして僕はあの村との決着の為に戦争に参加することを決めたのだった――

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