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第47話 疑念

 ブレブも承知してくれたから僕たちはギルドで依頼を受けて一緒に仕事に向かった。受けた依頼は薬草採取だ。


 依頼にはウスグラ草とあり、これは洞窟などのあまり太陽に光が入り込まない場所に生える薬草だ。薬の素材として利用されている。


 ただこういう薄暗い洞窟には危険な獣は勿論、魔物や魔獣が潜んでいることもよくあるようで、冒険者ギルドに採取依頼が舞い込んでくるわけだ。


 僕たちは採取場所の洞窟に向かった。洞窟内では大型のコウモリや凶暴な狼が襲ってきたけど僕たちの敵ではなかった。


「依頼分の薬草も採取し終えたけど、こんなものでよかったかな?」


 そうブレブが聞いてきた。依頼は確かにこなした。だけど僕の目的は別にあった。


「その顔、やっぱり他にも何か理由があって僕を誘ったんだね」


 どうやらこっちの表情からブレブも察したようだよ。


「そうだったのかにゃ?」


 フェレスが目を丸くさせて聞いてきた。彼女にも真意は伝えていなかったからね。


「うん。実は気になってることがあってそれを確認したかったんだ」

「ふむ。それは一体何かな?」

「それは――ゴブリン討伐の件です。ギルドマスターに説明する時に貴方はアグレイがゴブリンを使役したと伝えていた」

「それはその通りだから当然ではないかな? 君との話でも確かだったことだ」

「確かにそこはおかしくないと思うにゃ」


 ブレブもフェレスも何がおかしいのかわからないといった様子だ。確かにそこだけなら僕も疑念は持たなかったと思う。


「はい。ですが問題はその時に僕が閉じ込められていたと伝えたこと。そしてゴブリンジャイアントに襲われたと説明していたこと――どうして貴方はそのことを知っていたのですか?」


 僕が発した言葉によってその場の空気が一変するのを感じた。


「……へぇよくそこに気づいたね」


 そう口火を切ったブレブの顔は笑顔だったけど、そこにはいつも見せていたような穏やかさは微塵にもなかったよ。


「ちょ、ちょっと待つにゃ。頭がおいつかないにゃ。それって結局どういうことにゃ?」

 

 フェレスが頭を抱えていた。ブレブに対して僕は疑いを持っていたけどフェレスは微塵も思っていなかったようだね。


「――おそらくだけど、ブレブは僕があの時アグレイと一緒に落ちることを知っていた。その先で何が起きるかも前もってわかっていた、そういうことだと思う」

「まさか、それってつまりブレブもアグレイの仲間だったってことにゃ!?」


 フェレスが随分と驚いていた。僕も出来ればそんなことは信じたくなかったんだけどね。


「それは少し違う。アグレイはこの俺が利用しただけだ。魔物使いの能力は今回の計画にぴったりだったからな」


 何気に口調も変わってきてるね。穏やかさが感じられない。


「あっさり認めるんですね。つまり――黒幕は貴方だったわけだ」


僕の予想ではゴブリンの暴走も含めて裏で糸を引いていたのはブレブだったということだと思う。


「さて、どうかな。物事というのはそう単純ではないからな」


 ブレブは意味深なそれでいてどことなく曖昧な返答を見せた。もしかしたらブレブ以外にも他に仲間や強力者がいるのかもしれない。


「い、いったいこんな真似してどういうつもりにゃ! 同じ冒険者なのにおかしいにゃ!」


 フェレスが憤っていた。仲間だと信じていただけにショックが大きいのかも知れないよ。


「同じ冒険者? はは、面白い冗談だ。まぁもう隠しておく必要もないかな」


 だけどブレブがそう口にした瞬間――彼の様相が一変した。肌色が青くなり頭から角が生えていく。これって……。

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