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第16話 得られる利息

「ごめんね待たせて」


 ATMから出てフェレスに声を掛けた。


「それはいいけどにゃ。中で何してたにゃ?」

「うん。お金を預けてたんだ」


 するとフェレスが不思議そうに聞いてきたから答えてあげた。彼女の目が点になり耳もピコピコ揺れている。


「お、お金をかにゃ?  そんなことまで出来るのかにゃ」

「うん。そして壁のある場所ならどこでも引き出せるし少しだけど利息もつくんだ」

「利息にゃ?」


 フェレスにとっては聞き慣れない言葉なようだったから利息について教えてあげる。


「預けてるだけでお金が増えるなんてとんでもないにゃ!」

「そうなんだけど、月に1%だからね。銅貨100枚預けたら月に1枚だけ増えるって感じだよ」

「でもそれが金貨なら月に1枚は大きいにゃ!」

 

 なるほど。しかし金貨100枚稼ぐのは大変だと思う。


「急いで使う予定がないなら暫く寝かせておくのも手かもね。どっちにしろもう出たほうがいいかもだけど――」

 

 空を見ると大分日が傾いているのがわかる。本当なら一晩休んだほうがいいかもしれない。


 ただ、町の宿に泊まるべきかは悩みどころだ。フェレスは追われてる身だ。


 なら外でサービスエリアを使った方がいいかもしれない。ただしその場合はベッドなどは使えない。宿に泊まれば場所によってはお風呂にも入れることがある。


 ゆっくり休みたいなら宿に泊まるべきか――


「今夜は街で泊まっていく?」

「いいのかにゃ?」

「一晩ぐらいなら大丈夫だと思う」


 それが僕の決断だった。なんだかんだで標識の力で大分早く動けている。奴隷商人達がどこかで僕たちのことを報告したとしてもその情報が届くまでは相当時間がかかる。


 もう一つの魂が過ごした世界なら科学の発展もあり、情報が高速でやり取りされていたようだがこの世界ではそこまで技術は発展していない。

 

 魔法があり魔法具なんかもあるが流石に技術の格差もあり遠方にメッセージを送るようなやり方は一般的ではないのである。


 そう考えたら今日一日休んだからといってすぐにどうということはないだろう。それに砦で怪しまれたこともある。


 顔は隠していたが念の為にも一日おいて向かったほうが安全だろう。朝に出れば時間もずれている。同じ兵士に出くわす可能性は下がるはずだ。


 本当は食事もどこかで摂れればいいのだろうが、やはり国を出るまではあまりウロチョロしないほうが無難だろう。


 食事付きの宿を選びそこで夕食を取ることにする。宿泊客用の浴場もついてる場所だ。その分宿泊代はそれなりにしたがそれでも二人で大銀貨1枚だ。ギルドで受け取った報酬分で十分止泊まれる程度である。


 宿でそれぞれ浴場に向かい身綺麗にしてから食堂に向かった。


 食堂で提供される料理は決まっている。パンと野菜と肉類が入ったスープが献立だった。


「マークと行った場所の食事も美味しかったけど慣れ親しんだ味もいいものにゃ」

「はは。確かにね」


 パーキングエリアで提供されてる食事は僕たちの世界では珍しい物ばかりだった。僕には魂の記憶があるとは言え実際に食べると美味しくて感動もしたけど生まれ育った地域の食事も馴染みがある分落ち着く味である。


「満足したにゃ」


 お腹を擦りながらフェレスが笑顔を見せた。出会った間もない彼女だけど一緒に依頼をこなしたりして大分打ち解けたと思う。


 その後は翌日の事もあるからそれぞれの部屋でゆっくり休むことになった。殺されかけてから色々な事があったからかベッドで横になるとすぐに眠りにつくことが出来た。


 そして僕は夢を見た――恐らくこれはもう一つの魂の記憶。様々な標識と見たこともないような乗り物や技術の数々。これが地球という世界なのか……。


 朝目覚めると妙に頭がスッキリしていた。何となくリストを確認すると更に扱える標識の数が増えていた。

  

 しかも――何となくだけど標識召喚の力が増してる気がした。

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