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第14話 盗賊退治

「見張りで立っているんだと思うにゃ。下手に気づかれると仲間を呼ばれるかもしれないにゃ」


 フェレスが立っている二人の印象から予測を立てた。相手は鎧を来て兜もかぶっている。


 恐らく間違ってはいないだろう。通路は奥にも続いている。二人の内一人が助けを呼べば仲間が大勢駆けつけてくる可能性が高いと思われる。


「そうなると二人を一瞬にして倒す必要があるね」

「むむっ、ブーメランで倒せればいいのだけどにゃ。飛んでいくまでにバレると思うにゃ。狭いのも問題にゃ。でもスリングショットだと確実に一撃で行けるかにゃ――」


 盗賊は防具で守りを固めているから不安があるのかもしれない。だが相手の虚をつければ上手くいきそうだ。


「一つ試してみようと思う。上手くいったら後はお願い」

「な、何か手があるにゃ? それならマークを信じるにゃ」

 

 上手く行くかちょっと心配ではる。そっと顔を出して相手に気づかれないよう召喚魔法を行使する。


「標識召喚・一時停止――」

 

 僕の魔法で見張っている盗賊の正面に標識が立った。どうやら場所を指定して標識を立てることも可能なようだ。


 召喚したのは逆三角形で止まれと表記された赤い標識だ。


「今だ! お願い攻撃して!」

「にゃっ! スピードショット!」


 僕と同時にフェレスが飛び出してスリングショットを連射した。固まったように身動きしない盗賊たちに全弾命中し二人が倒れて動かなくなる。近づいてみたら息をしてなかった。


 こうやって死んだ人間を見るとやはり来るものがある。だけど相手は盗賊だ。こちらも容赦などしていられない。


 フェレスも冒険者だけあって死体を見るのは慣れているようだ。


「やったにゃ。でもどうしてこいつらだんまり決め込んでたにゃ?」

「うん。これが今僕が召喚した標識の力なんだ。この標識を立てると見たものは一時的に動きが止まる」


 これは止まれという表示を見なければいけないけど少しでも目に入れば効果がある。動きが止まれば防御する余裕もないから攻撃をまともに喰らうことになる。


 防具を着ていても心構えができてない状態で全弾受けては一溜まりもないだろう。


「動きを確実に止めるなんてすごすぎだにゃ」

「ずっとではないけどね。さ、先に進もうか」

「わかったにゃ。あ、でもその前に冒険者証をこいつらに近づけておくといいにゃ」

「こう?」


 フェレスに言われたとおり盗賊の死体に冒険者証を近づけると証明証が淡く光った。


「これで盗賊を倒したことが記録されたにゃ。証明になるにゃ」

「こんな力があるんだね――」


 便利だなと思った。でも確かに盗賊を倒したって証明出来る物がないと報酬も貰えない。


「この先に危険がないか調べてみるにゃ」

 

 フェレスが壁に耳を当てて更に地面にも耳を当て、鼻をひくつかせた。


「むむ! この先に広い空間があるにゃ! そこに盗賊があつまってるにゃ!」

「おお! やっぱり凄いねフェレスの感覚は」

「そ、そうかにゃ?」


 僕が素直に感心するとフェレスが照れくさそうに笑った。フェレスの笑顔は可愛らしい。


 僕たちはそのまま直進してフェレスの言っていた広い空間を見つけた。そこには多くの盗賊たちが集まっていて酒盛りをしていた。


「へへっ、頭。この辺りに居を構えて正解でしたね」

「あぁ。この場所ならそう簡単にみつからねぇし商人もよくやってくるからな。狩り放題奪い放題だ」

「冒険者連中も今ごろ歯ぎしりして悔しがってるだろうぜ」

「この勢いで次はいつやりますか?」

「あぁ。もうじきちょっとした商団が通るしな。そいつらから奪える金品だけでも相当な稼ぎになるだろう」


 盗賊達の会話が耳に入る。頭と言われているあの巨漢が盗賊たちのボスか。屈強そうで強そうだ。


 まともに相手したら僕では厳しい。他の盗賊も比較的男が多いが何人か女性もいる。杖持ちもいるので魔法師も混じっているのだろう。弓持ちもいれば大盾を近くにおいている盗賊の姿もあった。


 盾役と近接攻撃役。それに遠距離からの魔法や弓隊と一通り戦力は揃ってるようだ。


「結構な数いるにゃ。二、三十人ってところにゃ」

「そうだね……」

「さ、流石に二人で全員相手は厳しい気がするにゃ……」


 フェレスが弱気な声を上げた。その気持ちはよくわかる。だけど、僕はここの構造を見て既に勝ちを確信していた。


「大丈夫。寧ろ決着は早いよ」

「え? どういうことにゃ?」

「そうだね。とりあえず一旦離れよう」


 あのまま見ていて盗賊に気づかれたら面倒なことになる。僕とフェレスは連中に気づかれない場所まで移動した。


「一体どうするにゃ?」

「まぁ見てて。標識召喚・高波注意――」


 大きな波の描かれた標識が正面に立ち、かと思えば標識の場所から大波が発生し洞窟内を流ていった。


「ひっ、頭、な、波が波が迫ってます!」

「は? なんでこんなところにこんな波が、ぎゃぁああぁああ!」


 盗賊たちの悲鳴が耳に届く。勝ちを確信したのはこの先の空間が最奥部だったからだ。そこで行き止まりなのだから盗賊には逃げ場がない。


 つまり波を発生させれば後は勝手にやられてくれるわけだ。これで盗賊を一掃することが出来たね――

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