☆2 星花と星巫は誓い合う
一度縮んだ距離から(手と手が触れて、人が一人入れるくらい)リシェーラは一歩二歩と後ろに下がる。
此方からも彼女の身体全体が見え、本当に会えたのだと実感してしまう。
(本当に、リシェーラだ……)
「こうして会うのは久しぶりよね。元気にしていたかしら?」
「っ……り、リシェーラ」
昔となんら変りない彼女の微笑みに、声に、途端に俺の目頭が熱くなっていく。
俺の目に涙が潤んだのを見たリシェーラが、ギョッと目を見開き、あたふたと心配してくれる。
「か、カイン!?泣いているの……?どうしたの?だ、大丈夫?」
「ち、ちが……!違くて……!これは、その、嬉しくて」
やばい、恥ずかしい。
超はずかしいぃ。
俺は腕で顔を隠して入口の方へ向いた。心配して覗いてこようとする少女を、「大丈夫だから」と言って、手のひらで制す。
普通なら12歳で学園に入学するところを3年もかかって合格した俺だが、リシェーラがいなければとうの昔に諦めていたことだろう。
ようやく、会えた。
待っていてくれた、見捨てる事なく3年間も。
それが嬉しくて、今まであった不安なんて飛んで行ってしまった。泣くつもりなんてないのに、自然に涙が込み上げてくる。
もしかして今の俺って、クソカッコ悪い?
買ったばかりの制服の袖で思わず目元を擦ってしまった俺の手を、リシェーラがそっと包み込んでくれた。
「悲しいことがあって泣いてるの?それとも、嬉しくて泣いているの?カイン」
「な、泣いてなんかないやい!だ、大丈夫。大丈夫だから……」
「そう、なの?」
本当に大丈夫?なんて言いたそうな顔で小首を傾げたリシェーラ。尚も「平気、平気……」と誤魔化す俺を、彼女は一旦放っておくことにしたらしい。崩れた白金の髪を手で梳かすと、思い出したように胸の前で手を合わせた。
「そうだわ!遅れちゃったけど、入学おめでとうカイン……!」
「っ……う、うん、ありがとうリシェーラ……」
彼女にそう言ってもらえるだけでまた涙が溢れそうになるのを、ぐっと堪えた。
「大丈夫よ、カイン。貴方が落ち着くまで少し休憩しましょうか」
「う……、ごめん。リシェーラ……」
謝る俺に、リシェーラは優しく小首を左右に振って微笑んで、背をポンポンとさすって赤子を泣き止ませるみたいにあやしてくれる。待って、本当にまた泣いちゃいそうだ。
「いいの、大丈夫よ。王都に着いたばかりなんでしょう?先ずはゆっくり休んで……?」
着席を促された俺は、再会の感動と数時間の旅の疲れを、ソファーに座ってお茶を飲んで和らげることになった。
「ふぅ……」
カップ入っていた紅茶を全て飲み干した後、俺は静かにテーブルへとカップを置いた。
お茶を飲んで一休みし、気持ちも落ち着いてきたのだろうか?肩の荷が少し降りた気がする。緊張して張り詰めていた背筋の線が少し緩んでソファーにもたれかかった。
「……休憩はもう取れた……?」
リシェーラはタイミングを見計らったように、自分の頬に両手の甲を添えながら首を傾げて、こちらの顔を覗き込んできた。
少女から調子を問われて、思わず教師の方をチラリと見てしまう。
俺たちのお目付役を任されているのか、ずっと長いこと部屋の隅に立って退屈そうに懐中時計を何度も確認していた。時間を気にしながら、腕を組んで指でリズムを取る様子から察するに、少し苛ついているらしかった。
素早く窓の外へ視線を移せば、早朝から家を出たはずなのに太陽は既に西へと傾き始めていた。
これ以上待たせたくない。というか待たせちゃいけない気がして、俺は顔上げて口元を緩める。
「ごめんリシェーラもう大丈夫だよ」
「うふふ、よかったわ。あのね?そろそろ星巫と星花の儀式を行いたいの!ねぇ、先生。立会人になってくださいませんか?」
「っ、いけません!本当に彼を貴方の星巫にするつもり?」
「そうですわ、私はずっとそう言ってましたもの。カインはちゃんと学園の編入試験に合格しましたし、何も問題はないでしょう?」
リシェーラは首を傾げて、教員へと逆に何が問題なんですか?と問いかける、曇りのない瞳で。
困ったのは、やりたい放題したいというリシェーラよりも否定をした教員の方だった。
口籠もって、なんとか彼女を引き止めようと答える。
「そ、それは……。何も今急いで儀式する必要はないと言っているの!貴方は特別なのだから、もっとちゃんと職員会議で学長からも許可を貰った上で……」
「嫌です♪」
忍耐の限界が来たらしい教員は壁に拳を強く叩きつけて、俺に人差し指を向けて声を荒げた。
「っ〜〜〜〜!!だ、大体ね!!確かにここは成績の悪い生徒をも育てる場所ではあるけれど、貴方ほどの星花を無駄にする為の場所では……!!」
「そこまでですわ、先生」
「ひっ……ぐ……」
リシェーラの一瞬だけ鋭く冷たくなった瞳が、難色を示す女教師へと向った。その威圧的な視線に射抜かれた女教師は、身を少女の方へと乗り出した状態で凍りついたように動きを止め、表情を歪ませると餌を待つ魚のように口を開閉する。すごく息苦しそうだ。
「よかった……そうですよね、先生ならわかってくれると思ってましたわ」
黙った教員の態度を肯定と捉えたのか、リシェーラは胸に片手を置いて花が綻ぶような表情を浮かべた。
一瞬だけ張り付いた空気が、一転して穏やかなものに変わる。
「っ……が!!はぁ……はぁっ」
縛りから解放されたようは女教師が、片手はテーブルに、もう片方は胸に手を置いて肩で息を吸って吐いた。
明らかに普通ではない教員の様子を気にかける事なく、リシェーラは続けた。
照れたように片頬に手を添える。
「私個人の能力を買ってくださることは嬉しいですが、買い被りすぎですわ。私は……カインあっての私なのですから……」
俺の手を、もう片方の手で強く握りしめてリシェーラは続ける。
「それに、それにカインは!絶対に学園で一番の星巫になれるだけの素質がある人なのだわ!」
学園一番!?
その言葉に教師は頭痛がするのか額に手をやり、俺はあんぐりと口と目を開いてしまった。びっくりして、一瞬だけお尻が宙に浮いてしまいそうだった。
流石に言いすぎではないだろうか。いや、そのぐらいじゃないとリシェーラのパートナーとしては務まらないという事を暗に言われているのだろうか。
そうだよな。リシェーラはすごくすごく優秀な星花だって姉さんも兄さんも言ってたし、俺みたいな出来損ないが隣に居たら誰だって……いやでも、リシェーラが俺のことを必要としてくれているわけで。
だからこその一番なのか!?努力しろって事じゃなくて、隠された才能のこととかを指してたりして?なーんて……そんな才能があったら苦労なんてしてないって……。
リシェーラの内心が分からなくて脳内で考えがぐるぐる回っている、蛇や犬が尻尾を追いかけるみたいに悶々と思考が止まらない。
悩む俺を他所に、話は勝手に展開されていく。
ちょっと置いていかないで欲しい。
「はぁーーーー。わかりました、いいでしょう。貴方がそれで壊れたとしても後悔をしないのならば……全く、これで私が学長から左遷を言い渡されたらどうしてくれるんですか」
「後悔も失敗もしないわ、絶対」
得意げにコロコロと笑う少女。
流石にそれは期待しすぎだ。そう、俺は胸の内だけで独り言を溢した。
——学園1番なんて……、俺が成し遂げられる筈がないのだから。
「さ、それじゃあ、教会まで案内してあげるわ。カイン、ついてきて」
「あ、う、うん!」
俺の気持ちを察しているわけではないのだろうが、落ち込んだ次の瞬間にはリシェーラに手を取られて応接室から教会へと向かっていた。
もう一度、視線をたらふく浴びて、中庭の間にある回廊を通り抜け、角を曲がり、反対側の回廊と中庭のその先、塔の下部融合される形で教会はそびえ立っていた。
リシェーラに続いて教会内へと俺も足を踏み入れる。
清楚な白を基調とした壁、妖星の描かれたステンドグラスから差し込む夕日。
一番奥の祭壇には像があった。頭にはベール、前掛けの付いたワンピース状の服を身につけ、妖星特有の羽を背から生やした乳白色の天族像だ。口元は優しい笑みを浮かべていた。生花で作られた冠が、像が合わせている両手の間に備えられている。
天井に行くほど幅が狭くなってとんがっていく屋根。そこにも凝った彩飾がなされており、星のランタンがぶら下がっていた。
「すごいな……」
天井を見上げて惚けている間に、教会の扉がまた新たに開く。振り返れば、男女二人の生徒が揃って入室するところだった。
黒い色の頭に白いカチューシャを付ける少女の方は、青緑色の瞳で直ぐに星花なのだとわかる。
「リシェ、遅れてごめんなさい見届けに参りましたよ」
「ナギ……!来てくれてありがとう、絋夜も……」
「いえ、自分は凪咲嬢の星巫なので……」
大柄で無愛想気味なツンツンした黒髪の青年が……(少女が小さいからそう見えるだけかもしれないが)赤い目で俺を探していた。
目が合ってしまった。
どきりと心臓が跳ねる。
先輩の星巫という事だろうか、結構大きいな……。
じっと見つめられる。
なんだろう、心臓の鼓動が早まる。
「………」
「……あの?」
「………」
「………えっと?」
頭に手を乗せられた。
「……あの……?」
撫でられたことがない俺は、狼狽えてしまう。
嫌な感じはしないから、激励のつもりなんだろうか。
「……リシェーラ嬢と仲良くしてもらっている凪咲嬢の星巫、紘夜だ。そうだな、何かあったらいつでも相談するといい……」
急に喋り出す紘夜さんに驚いてしまう。
「あ、は、はい!俺は、カインです!」
「カインー?祭壇の方へ来てくれるかしらー?」
「あ!うん、わかった!えっと、じゃあ……失礼します」
「ああ……死ぬなよ」
一体、なんのことだろうか。低い声に後ろ髪を引かれて振り返りながらリシェーラの元へと駆け寄った。
像の置かれた祭壇一帯には、古めかしい分厚い本を置く茶色の台と燭台、その背後の数段しかない階段を上がれば像があり、小さな石で薔薇のモザイク模様を施した円形状の床がある。
そしてその上の天井には球体と星、月の飾りが吊るされ、一番大きいステンドグラスには花を生む妖星の姿が描かれていた。
「リシェーラ、その花冠……」
「そう、これはここに置かれた像の祈りが捧げられ、月の光をたっぷりと浴びた特別な花冠よ。儀式の時はこれを頭に被る決まりなの」
リシェーラは天族の像の側へ俺を導き片膝をつかせる。それから少女は、己の肩に左側の半身だけを覆う長いラメの入った純白のマントを羽織る。
「準備はできました?教員である私とここにいる二人の生徒が立ち会いましょう」
胸に手を置いて、男女二人の生徒と、女の教員が立会人になることを誓う。
「—— 星の導きに感謝を、祈りを。星は巡り、祝いの鐘が鳴り響く。放たれた耀きは祝福となりて彼方に降り注ぐ。星よ花よ、人の子よ、夜を以て誓約を、朝を以て盟約を……ねえ、カイン?本当に私の星巫になってくれるの……?」
紡がれる唄の中でリシェーラが胸元で指を絡めて不安げに尋ねてくる。
そんなの、決まってる。
「嗚呼……!そのために俺はずっと生きてきたんだ……!」
顔を上げて、自分の決意をはっきりと断言した。
リシェーラの青緑色の瞳が潤む。口元を震える手で覆い隠しているが、安堵したように目元がふにゃりと笑ってる。
「—— 貴方を、信じていますカイン」
祈る少女の手元に、銀色の杯が虹色の光とともに現れる。
リシェーラが針で指を刺して自身の血を少量垂らす。それを俺に受け渡せば、杯は平たく長い剣身の剣へと変貌する。
そして、俺がその剣に自身の指の血を垂らし、
「っ!?!?」
自身の血を、唇に紅代わりに塗ったリシェーラが、針で刺したお互いの指を合わせる。
それから血で塗られた少女の真っ赤な唇が俺の額に口付けた瞬間、どくりと大袈裟に己の心臓が悲鳴を上げた。
身体の内側が煮えたぎるように熱くなって筋肉が震え、軋み出す。体に張り巡らされた血管の中を大量の血液が流れ、空っぽの俺の魔導回路がリシェーラから供給された膨大な魔力を味を覚えるみたいに食して稼働し始める。
魔道回路を構成していた物質が一度破壊されて彼女の為に変貌していく。
胃から物を吐きそうになった俺は、背を丸めたまま両膝を地について必死に口を押さえた。
なんだ!?これ!?!?
苦しい、熱い。気持ち悪い。
視界が朦朧とし、頭がぐるぐる回る。
「っ……は、はぁ……!うぐ……」
立っていられなくなって、四つん這いになって肩で呼吸する。
「ぅ、ぅあ、うあぁぁ————————————っ!!」
視界が真っ赤に染まる。
誰が叫んでいたのか、分からなくなった。
けれどきっとそれは俺の声だった。
自分が誰か分からなくなる。
何がしたかったのかも分からない。
苦しい。
痛い。
熱い。
誰が床の上でのたうち回っている気がする。
誰が?俺が?
痛いのはなんだ?痛いのかな。
苦しいのはどこか?泣いてしまいたい、吐き出したい。苦しいのかな。何を、何が、誰が、どこが。
熱い、熱い?寒い?
キモチワルイ。
自分の四肢も五感も自分の物だと思えなかったのに、ねじ曲がる視界の中で、ふと、神聖な雰囲気を纏う少女の天族像が映り込んだのは確かに俺の視界のだと理解できた。
そうしたら、どうしてだか先程まで香りもしなかった花の香りが強く鼻をくすぐった。
何を、していたんだっけ?
そうだ。
リシェーラ。
星巫の試練を受けていたんだった。
なりたかった。
なりたい、俺は。
俺は、彼女の星巫に、なりたいんだ。
「ぐ、ぁ————」
苦しみもがくこと数分、半ば気絶しかけている俺の手の甲には星の紋章が現れる。身体の中で、確かに何かが変わった気がした。
「げほ、けほっ……けほ」
汗だくになって咳き込む俺の側で、少女が膝を付いて祈りの唄を続けた。
「星の輪は結ばれ廻り、朝はきた。ここに盟約を、ここに祝福を……貴方が私の光、私の根源」
そっと少女に抱き寄せられる、新しく生まれかわったような感覚といえばいいのだろうか。不思議な気分だった。
「貴方は私、私は貴方。……カイン、これで正式に私の星巫よ」
差し伸べられた手を握る。
「うん、リシェーラ……俺は、君の……」
今ここに、少女と少年の盟約が結ばれた。
これで俺は正式に彼女の唯一の星巫となったのだ。
長年の夢が叶った瞬間に、また涙ぐみそうになってしまった。
「よろしくね、カイン」
「うん、俺の方こそ……」
儀式の終了後、女の教員は「これから授業がありますから」と用事があると言って先に教会を出て行く。心労が溜まっているらしい教員の足取りは重く、頭痛も止まない様子だった。
あー、何となくだけれど、これから学園の上の人たちに態々自分から怒られに行くのだろう。
(すみません……)
残った男女の生徒たちは、俺に学校を案内してくれることになった。
俺と紘夜さんの前を歩く少女達が先に話し始める。
「えへへ……♪」
「ご機嫌ですね、リシェ」
前に垂らした一房の髪の束を、星と造花の髪飾りで結んだ白金髪の少女リシェーラに声をかけるのは、黒髪の凪咲さんだ。
柔らかく、気品があって、華やかな印象のリシェーラとは反対に物静かで凛々しい少女。一見ややお堅そうにも見える容貌だが、リシェーラを見る青緑色の瞳はとっても柔らかい。
「えぇ……!だって一番嬉しかったことが今日やっと二つに更新されたんだもの、すこぶるハッピーよ」
「り、リシェ!嬉しいのはわかりますが、こんな人目があるところで手を繋がないでください……!もう……」
頬を桃色に染めて抵抗しない凪咲さんの様に、リシェーラのことがすごく大切なんだと初めて会った俺にも伝わってきた。
「……おい、後輩……いや、カイン……」
微笑ましく前方の二人を見守っていると、横から大柄なツンツン頭の絋夜先輩に声をかけられる。
「は、はい!?」
目つきの悪い赤目がジロリと俺を見下ろす。
なんだろうか。怖いんだよな、この先ぱ……。
「———————————— ん"ん"、その、就任おめでとうだ」
ぽけっと。
呆けてしまった俺は、咳払いをして祝福をしてくれた絋夜さんを見上げた。
耳が赤くなっている。
祝辞がそんなに照れ臭かったのだろうか。
「……っふ……」
曖昧に上がった口角が痙攣する。
ぷ。ぷふ……わ、笑っちゃだめだ。笑っちゃだめだ、笑っちゃだめだ。笑っちゃだめだ。
「あ、ありがとうございます」
顔を背けて、腕で口元を覆い、小刻みに身体を震わせながらお礼を言う。いかん、声がひっくり返ってしまった。必死に言うことを聞かない唇を噛み締める。
「?……どうした」
「い、いえ……ナンでモ??」
怖い見た目をしているが、どうやら悪い人ではないらしかった。寧ろ可愛い人なのかもしれない。
「あの、俺……」
友好な交友関係を紘夜先輩と築けるかもしれない、そんな風に明るい未来を考えて歩み寄ろうとした矢先に、闇が差し込んだ。
フッと西日の灯りがかき消され、地上に影が差す。
「———————————————— え?」
なんだ?
(空が、消えた?)
空中から肌を刺すような凍った風が吹き荒れ、死の香りを鼻腔へと運んでくる。学園中に警告の鐘が忙しなく鳴り響く中、まるで引き寄せられるように空を見上げた。
「あれは……」
驚愕した。ソレを本能的に恐れた。
視線の先には、球体の透明なカプセルに入った巨大な黒い塊のような物がおどろおどろしく浮かんでいる。カプセルの中で縮れたカーテンのようにボロボロと黒い塊が溢れ落ちているのがわかる。
翼のような白と黒の四角い物体のひとつひとつが球体のカプセルの周りを取り囲んで上下していた。
俺も知っている。この世界の住人はみんな知っている。
現物は初めて目にしたが、入学する前に学習する為に読んでいた本での知識はあった。
地上から決して見えないが、崩れかかった黒い塊の上には無法地帯の迷宮のような遺跡が広がっているらしい。
そして、この迷宮の何処には災妖星が住まうという。妖星を倒せば消滅するというこの物体———— 人々はこの浮遊する迷宮を、【ダンジョン】と呼んだ。




