表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/8

第6話:目標が出来たぞ

 呼び出しに来た兵士の後を付いて行くと、城を囲む城壁の正門前で国王が護衛の騎士と共に立っていた。

 国のトップが直に出迎えとは、よほど大きなことがあったのだろうか?


「おお! よくぞ来てくださった! ささ、こちらへ!」


 国王の言葉を聞き、騎士が先頭を歩き城の中へと移動する。

 城の正門を抜けると、通路には使用人たちが整列していて、一斉に頭を下げてくる。

 そのまま通路を進み、2階にある応接間へと案内された。


 謁見の間ではなく応接間ということは、対等な立場で話したいということか。

 部屋の中は、赤い絨毯が敷かれ、壁際には棚が並び、中にはさまざまな美術品が飾られている。


 

 中央にはテーブルとソファが設置されていた。

 そのソファーに座るように促され、どっかりと腰を下ろすと、国王も対面に座った。

 メイドが素早くテーブルにお茶を準備すると部屋を出て行き、入れ違いに綺麗なドレスを着た女性が入ってきた。

 腰まで伸ばした金髪が輝き、水色の瞳は穢れを知らず、鼻筋から全てに整った顔立ち。

 いわゆる美女……だな。そのままナテュアを大人にしたらこうなる、みたいなお手本のような女性だ。


「ナテュアの母体か?」

「ぼた……」


 呆けた顔になってしまった。聞き方を間違ったらしい。


「えっと、国王ラーズヘルの妻で、ナテュアの母、ナレイアでございます」


 スカートの裾を掴み、少し膝を曲げて挨拶した後、国王の隣りに座った。

 

「我は長話は好まぬ。早く用件を言え」

「兵士や冒険者の報告があったのだが、最近になって魔物の強さが跳ね上がっているらしい」

「ほお?」

「確認されたのはゴブリンの森だけだが、魔王が本気で攻めてくるつもりかもしれん!」


 それは……まあ、魔王である我が強化したのは間違いないな。

 しかし、今までこの世界の魔王は本気ではなかったということか?

 考えてみれば、魔物共も王都周辺に配置されているにしては、弱すぎたな。

 

「お願いします。魔王討伐にお力添えを!」


 ナレイアの言葉に、ラーズヘルも頭を下げてくる。

 ゴブリンのレベルが10増えた程度でこの騒ぎようとは。さて、どうしたものか……。

 原因は我なのだがな。

 ナテュアとも約束してしまった手前、断れんな……。


「確約は出来んが、必要とあればこの世界の魔王とやらと戦ってやろう」

「おお! まことか!」

「今すぐではないがな。この世界を人間として楽しむと決めたのだ」

「人間として? それはどういうことですかな?」

「ん? 言ってなかったか? 我は異世界の魔王だぞ?」

「「!!!???」」


 驚きすぎてソファごと後ろに引っくり返ってしまった。


「お、そうだ。ちょっと条件を出していいか?」


 のっそりと起き上がったラーズヘルがコクコクと頷く。


「寝床を用立ててくれんか?」

「寝床?」

「うむ。宿代も稼げなくてな。活動拠点がほしいのだが」


 元の世界から配下の者を呼び寄せる必要があるかもしれん。

 街中で魔族を召喚してしまうと、今以上に大騒ぎになってしまう。

 その為の拠点だな。


「宿代……あ、いや、分かりました。明後日中にもご用意いたしましょう」

「よろしく頼む。連絡は冒険者ギルドのほうに届けてくれ」

「あい分かった!」


 交渉が成立し、我は市街地へと戻った。




 さて、拠点が手に入る前に稼がないとだが……。

 

「娘よ。聞きたいのだが、消滅させないでゴブリンを倒す方法は?」


 ギルドの受付の娘に聞いてみた。

 専門の知識を持っている奴に聞くのが早いだろう。


「娘って……私にはリセラって名前があるんですけど!」

「名前など聞いてな……いや、すまん」


 これから、このリセラには稼ぐために世話になるのだ。怒らせるのは得策ではない。


「まあ、いいですけど。魔法で消滅させちゃうんでしたら、剣で斬ったらいいんじゃないでしょうか」

「なるほど。その剣はどこで手に入るのだ?」

「武器屋とか……オーダーメイドでしたら鍛冶屋に直接行けば作ってくれますよ。ちなみに、店売りですと、1番安いもので銅貨100枚が相場ですね」

「ふむ……」


 結局は金を稼がないとだな。

 薬草採集をするしかないようだ。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ