その7
シャルローネの言うファブリオとは何か?
その疑問をぶつけると、シャルローネはますます真っ赤になってモジモジとした。
あぁ、年齢制限のかかったアダルティーな関連か。
すぐに察することができた。
しかし彼女の言うファブリオは、少しニュアンスの違うものだった。
「ファブリオというのは、その……滑稽本の類いでして、少なくとも良家の子女が大口開けて笑い転げながら読んではいけないものでして……内容も、その……エッチなものが多いというか、それが主流と申しますか……」
「つまり君は、そのファブリオ感覚でページをめくってしまったと?」
「こちらの世界のエッチは、すごく発展してるんですねぇ」
「いや、薄い本で取り扱っているのはむしろ特殊性癖のようなもので、これがこちらの世界のスタンダードとか、マジョリティーとか思われては大変に困る」
それよりもだ、購入してきたゴールデンバットシガー三カートンを差し出す。
「はい、頼まれてた煙草三十パックだよ」
「すっかり忘れておりました! ありがとうございます、ケースケさん!」
「それでシャルローネ、俺としては次に君がいつ来るか、それがわかれば買い置きしておけると思うんだ」
そうすれば今回のような、不幸な事故はふせげるかもしれない。
「そうですね、ケースケさんにも都合があるでしょうし。それでは……」
指折り数えてシャルローネ。
「十日後のこの時刻におうかがいしますね♪」
そのときまた、同じ煙草を三カートン。
そして今回の煙草は、二十本入りの煙草を一万円で購入。
つまり三十万円払ってくれた。
「それではまた」
光の粒子を振りまくような笑顔で、シャルローネは消えた。
ボワンという煙をたてて。
そして俺はというと、十日後に三十万が入ってくるということで、月収九十万円という夢にひたった。
つまり、会社勤めしていた頃の、四倍以上の高額所得者ということになる。
しかも税金が引かれることが無い。
完全なトッパライというやつだ。
そうなると、ますます目立ちたくは無い。
少なくともタバコ屋関連には、よく同じ銘柄ばっかり大量に買い込むなぁ、などの印象を与えたくない。
必然的に俺は、行動半径を広げる必要性に迫られた。