もふもふじゃなければダメですか?
ボクは保護施設のワンコです。
ケージの中でボクを飼ってくれる優しい人が現れるのを待ちわびています。
今日は駅前の広場でのおひろめ会の日です。
前回の時にはお仲間のワンコに出会いがありました。
彼女はもふもふの被毛をさらに膨らませて、幸せいっぱいの笑顔を振りまきながら卒業してゆきました。
今回はボクかもしれません!
素敵な飼い主さんに出会えるといいな!
手を繋いだカップルがボクのケージに近づいてきました。
ボクは短いしっぽを思いっきりフリフリしながら二人を見上げました。
「このワンコ、めちゃめちゃしっぽ振ってる!カワいくない?」
「うーん、でもオレだったらアッチの方がイイな。顔押しつけて、もふってしたいし!」
「あー、わかるぅ」
二人は笑いながら立ち去りました。
次に近くに来たのはご夫婦らしい人達です。
「おい、このコってユメに似てると思わないか?」
「えー、ユメに?ユメはもっともふもふしてたわよ。それにこのコ、男のコじゃないの!」
「本当だ!女のコなら良かったのに…」
二人は足早に去ってゆきました。
ボクは悲しくなってクーンと鼻を鳴らしました。
ボクの被毛は短くて、あまりもふもふしてはいません。
もふもふしていないコはダメなのかな…
気づくとボクのケージの前に小さな女の子が立っていました。
「ねぇおかあさん、このコ、クーンてないてたよ。ひとりぼっちでさびしいのかな?ワタシ、このコのおともだちになってあげたい!」
「でもこのワンちゃんはお家のぬいぐるみみたいにもふもふしてないけど、それでもいいの?」
「うん、このワンちゃんがいいの!」
「それじゃあお家に帰ってからお父さんにも聞いてみようね」
頷いた女の子はボクに手を振りました。
「ワンちゃんバイバイ、またね!」
ボクは短いしっぽがちぎれそうになるくらい速く振り返しました。
二人は手を繋いで帰ってゆきました。
後ろ姿の女の子は髪を揺らしながらスキップをしています。
でもボクは寂しい気持ちで二人を見送りました。
また来ると言って再び来てくれた人はいません…
雨が続いていたので今日は久しぶりのおひろめ会です。
あれ?向こうから小さい子が走ってきます。
あっ、あの女の子だ!
その後ろから二人の大人がニコニコしながら歩いてくるのが見えます。
ボクはうれしくてうれしくて、ワンッと鳴いちゃいました!
お読みいただきまして、どうもありがとうございます。
私個人としては、もふもふのコも、もふもふでないコも、どちらも大好きです!




